2003-01-01から1年間の記事一覧
無垢は堕落しやすい。 天使もまた 堕落する。 かつて森茉莉が「わたしの満寿夫 わたしのイノサン」と呼んだほど“無垢・純潔”を上昇志向の内側に隠し持っていた初々しい版画家・・・・池田満寿夫 傑出した才能を持って周囲から大いなる祝福を受け船出した青年…
‘日本のポスターのアヴァンギャルド’と題された見事なアングラ芝居ポスター・コレクションが武蔵野美術大學にある。 60年代小劇場運動とグラフィズム 素晴らしい蒐集。 天井桟敷 黒テント 早稲田小劇場 状況劇場 大駱駝艦 この土着性こそ 今も変わらぬ現実の…
かつて新宿に風月堂ありき。 ヒッピー フーテン ノンヘル 黒ヘル 全共闘 画家 音楽家 小説家 詩人に 踊り子 カメラマン イラストレーター デザイナー モデルに 役者 歌 マンガ それぞれ 卵に ヒヨコに 落ちこぼれ 前衛/不良・文化人 不良/善良・外国人 家出…
1953年 54歳のアーネスト・ヘミングウェイは妻メアリと共にナイロビ南方の南部猟獸保護地区にてサファリの許可を得た。 冷えたビールを飲みシムノンをフランス語で読みながらライオンを狙う。合間には愛人を作り三角関係に苦しみながら 執筆もした。(その時…
「ポール・ヴァレリーが亡くなった一九四五年は、約一世紀にもわたるフランスでのポオ崇拝の終焉を意味している。この崇拝はボオドレールがポオの物語を発見し、それをフランス語に翻訳する作業に専念しようと決意した一八四七年から始まる。フランスでポオ…
「村八分」のチャー坊こと柴田和志の遺稿集が昨年の暮れにひっそりと出た。 それを知ってAmazonでは取り寄せに時間が掛かるようなので 直接 飛鳥新社に注文した。 ・ 電話した翌朝 たまたまエリー・フォールの『古代美術』を読んでいる時に届いた。思ってい…
帯にはこう書かれている。 「唐の茶聖・陸羽を祖として発達した中国の茶文化。茶で心を鎮め、詩文を草した多くの文人墨客たち。かぎりなく贅沢品となって国を滅ぼした茶、欧米に広まり戦争の引き金となった茶‥‥‥ 」 ・ やや大きめの活字で ゆったり組まれた …
深い意味はない。書架に九鬼周造や西田幾多郎 和辻哲郎 ブルーノ・タウト等が並んでいた。 偶々それら古い本に眼が留まって面白いと思ったまでの事・・・。 昭和十年十二月十五日に第一刷が出ている。 手元のは 昭和四十三年五月十日 第八刷。 今日は 2003年…
勿論これは一種の洒落である。 最近になって〈「思索の人」の全貌を開示する,新編集による半世紀ぶりの新版全集〉が出るというので 旧い活版印刷に布張りの昔の岩波書店の単行本を偲んでみた。 改めて手にして何よりも驚くのは 活版の組版の仕方である。 例…
1917年から1924年まで バルセロナ、ニューヨーク、チューリッヒ、パリで 19冊が出されたピカビア/Francis Picabia編集の 『国際的‘DADA’雑誌』。 リヒャルト・ヒュルゼンベック編著の『ダダ大全』には こんな [予告]が収録されている。 ・ 近刊 / ダダ運動…
ドイツで写真術を学んだ気鋭の写真家・写真誌編集者 アルフレッド・スティーグリッツによって 1905年紐育五番街に開設された 《世界初の写真専門画廊》。 正式名称は「フォト・セセッション五番街二九一番地」 写真の他 DADAやピカソなどヨーロッパの前衛美…
副題を「歴史にみる中国の喫茶文化」という本書の書名は 唐は白居易の詩句 《緑芽十片火前の春》から摂ったと“プロローグ”にある。 本を読むなら 信頼に足る人のものを読むべきだ。 茶書もしかり。 著者は中国唐代史を専門とする1919年生まれの歴史学者。 こ…
裸足のブルトンがメキシコに幽閉されていたトロツキーと愉しげに語らう写真(1938年)は、僕を今でも嬉しくさせる。 誰に似たのかブルトンは喧嘩ばかりしている。 離反し非難し除名し抗議する。 だがレフ・トロツキーとは喧嘩できなかった。そんな時間がレフ…
没後のボイスを最も際立たせているのは《マルチプル》という“考え方/言葉/思想”だ。 それは通常の版画やブロンズ彫刻のような【複数の作品】が存在するという以上の積極的な意味を持つ。 ヨーゼフ・ボイスにとっては “観念・思念・想念”こそが不可視の作品だ…
没後のボイスを最も際立たせているのは《マルチプル》という“考え方/言葉/思想”だ。 彼は複数の生を複雑かつ直裁に生きたし これからも生きるだろう・・。 zeige deine Wunde zeige deine Wunde 『汝の 傷を みせよ』 と書かれた二枚の子供用石板。 二台の病…
時間は面白い 加齢とともに 段々現実と非現実の境界が淡くなり 閾も低くなる 本当にあった事かどうかも 徐々に、どうでもよくなる。 でも雑多な記憶の堆積の中から ゆらり浮き上がってきたから 想い出を電子的に変換してみる。 随分とむかし ゴルチエという…
オフィシャルサイトに 色鉛筆は載ってるけど 普通の鉛筆のことには 全く触れていないから CARAN D'ACHEでは単なる「鉛筆」はもう製造していないのかもしれない・・・・ その消えてしまった黒鉛の鉛筆が シンプルな紙の箱に入って壱ダースある。 愛想の全くな…
2001年12月から発売されたシビック/タイプRは総ての生産がホンダ英国工場でされる。 これは画期的なこと 日本自動車工業史上の大きな事件である。 日野ルノー 日産オースチン いすゞヒルマン 戦後・国産車の歴史はこれらの車のノックダウン生産 組み立て製造…
厳寒の中 ちょっとした気紛れを起こして古着のアロハ売り場に紛れ込んだ。 ブランドネームや法定表示タグを次々と眺める内に面白い発見をした。 ちょいと面白い洒落たヴィンテージ・プリント風のモノは韓国製である。 中国はアロハ戦線に於いては他の衣料製…
いま日本人は平均すると一人あたり一年間に100本の燐寸を使っている計算になるという(1998年の統計)。30年前の消費量の20分の1だ。 友人たちに世界各国の市販燐寸をお土産に頼んでいた時代があった。それで割と色々なマッチが手元にある。 それぞれの国の…
1931年生まれの現代ロシア人作曲家 ソフィア・グバイドゥーリナが T.S.エリオット生誕100年である1988年の前年に作曲した『頌歌』。 (単に“韻を踏む”ためにKW/語彙化したものだから グバイドゥーリナや演奏しているギドン・クレーメルに触れる情熱も気力も…
壁に一枚のやや大きな銅版畫が掛けられている その畫の中に ‘In the room the women come and go Talking of Michelangelo.’ と言葉/文字が 朱く刷られている。 T.S.エリオットの詩『J.アルフレッド・プルーフロックの恋歌』から採った一節。 D.ホックニー 1…
あの「村八分」の未発表だった音源群が 一挙に発売になる。 《ハガクレレコード第6弾》 村八分のライブ録音 3タイトルと山口富士夫を中心にした「ティアドロップス」の再発。 計4タイトルを予約注文した者に限っては 『ディスクユニオン オリジナル村八分…
冬のある日 僕はこんな風に散歩する。 地下鉄神保町駅の階段をややゆっくりと上がり乍ら 僕は真冬の太平洋で潜望鏡をあげる 艦長のような気分になっている。 今日の太平洋ならぬ 神保町の「天気」はどうか。 まず洋古書の松村書店へ。 Joseph Beuys の画集が…
外側にある自分。 「物買ってくる自分買ってくる」 何て凄い言葉でしょう。さすがは物と生命、美と霊性を深く考えた思想的巨人柳宗悦の盟友です。 他にもこんな言葉が物欲に溺れる私たちを鼓舞(笑)します。 「すきなものの中には必ず私はゐる」 1966年に76…