2017-01-01から1年間の記事一覧
2017 → 2018 年末から年初にかけて読みつつある本 アレクセイ・ユルチャク『最後のソ連世代/ブレジネフからペレストロイカまで』 半谷史郎訳 みすず書房 堀真理子『改訂を重ねる《ゴドーを待ちながら》/演出家としてのベケット』 藤原書店 南嶌宏『…
丁寧な梱包で 二本のメスカルが届いた 「MEZCAL REAL MINERO / TOBALA」 と 「WAHAKA MEZCAL / TEPEZTATE」 かつて 関心空間の雲衣。日記に 『「MEZCAL」への旅』と題して 長文を書いて 最後の方に 《 ぼくのこころは稀少野生高山種アガベによるメスカル 「…
「もはや 余生である。」 生意気というより 驕傲を超えて そう宣言したのは 二〇歳になったころだった それから 約半世紀が経ち 先月 六十八歳になった 。。 随分 ながい余生をおくったことになる / 笑。 幻燈でみた オスカー・ワイルド『幸福の王子』 独特…
『バビロンの流れのほとりにて』 『旅の空の下で』 『木々は光を浴びて』 『砂漠に向かって』 『経験と思想』など 森有正を重点的に読んでいたころから 四〇年以上が経つ それどころか すでに 彼より年齢がウエになった 自分に気がつく ぼくが言うまでもなく…
「質素な生活と高遠な思索」は 《 既にない 》。。。 もう二〇〇年もむかし ワーヅワスはそう哥った 知悉しつつ 興味ある本を読み 美しいものを購う 先週は ヤフオクに柳宗悦の稀覯本が二冊出現 私版本『美と模様』昭和十七年 ぐろりあそさえて『工藝の道』…
三月にはチャック・ベリーが鬼籍に入っている 子どもから中年までを 夢中にさせ 長くつづいた「人工的な青年期」音楽 欲望を装うアーティフィシャルな商業音楽 甘い騒音としてのもうひとつのミューザック ロケンロール R&Rの時代が終わった パンクやレゲエ …
THE FOOLS ブルースビンボーズの Vo. 伊藤耕が死んだ 札幌矯正管区・月形刑務所内での「不審死」 (検死結果を待っている〕とある 。。 2015年9月から服役中で この12月には出所するはずだった 2017年10月16日死去 享年62歳 たまたまバーホッピングのように …
二〇世紀藝術を考えるうえで キーパーソンが四人いる オスカー・ワイルド アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ マルセル・デュシャン ウォルト・ディズニー 1900年11月30日に ワイルドが死に 1901年12月5日に ディズニーが生まれている き…
ナシーム・ニコラス・タレブ『反脆弱性』読みおえる 著者は 「脆さ/モロサ」の対極にあるものとして ふつう考えられている「丈夫さ」「頑健さ」は 反対語ではなく 脆さの真の対極にあるものとして 新たな概念「反脆さ/ハンモロサ」を提唱し開陳する つまり …
敗戦後 とりわけ ここ四〇年間 この国の混乱と無力化の基底部には 「学歴問題」と「ステルスな階層階級」が潜んでいる もともと無産階級だった大多数の民草・庶民・大衆・蒼氓 凡夫匹夫・熊八・善男善女 呼び方はどうあろうとも 彼ら我らに降ってわいた 擬似…
中井久夫集 1『働く患者』 残してあった最終章「精神科医としての神谷美恵子さんについて」 読み終え 幾つか思わぬ発見がある ながいあいだ 神谷美恵子と中井久夫は親しい関係だとばかり考えてきたから この文章はインパクトがあった 《 精神医学界の習慣か…
入退院の前後に読んだ 『中井久夫集 1 働く患者』から 引用したい 《 日本に大量に大学が生まれたのは戦後まもなく、高度成長以前の時期であるが、アメリカでも大不況後に大衆大学が出現している。ヨーロッパでも最近新大学が生まれつつあるが、ヨーロッパは…
はるか昔に読んだ 自動ドーナツ製造機械の『ゆかいなホーマーくん』 あるいは 二〇歳を過ぎたころ読んだ『チョコレート工場の秘密』 「工場」童話を ふと 連想しつつ 巨大産業になった「廃兵院」のこと考える 。。 ごく軽い脳梗塞 緊急入院した脳外科病棟 血…
《 世上乱逆追討耳ニ満ツト雖モ 之ヲ注セズ 紅旗征戎吾ガ事二非ズ 》 おそらく 堀田善衛の『定家明月記私抄』などを介して よく知られる 藤原定家『明月記』の一節だが 本歌は白楽天 白詩文集にある 「紅旗破賊非吾事」 コウキセイジュウでも コウキハゾクで…
《谷川雁『無の造形』》が届いた 無には「プラズマ」とルビが振られる 題箋と装幀は石川九楊 出版編集人 八木俊樹 この 高貴な海賊版は 「持つべき本は購う」最良の典型 一〇年余も 架蔵を望んでいた稀覯本だ 遺憾ながら 石神井書林からは買えなかったけれど…
晩年は 土方巽と井筒俊彦 ジョージ・ナカシマと柳宗悦 ボイス ゴダール 花森安治 谷川雁 や 宮澤賢治 etc. 彼らのことを考えつつ暮す予定だが それまで まだ時間がある 。。 バリー・M・カッツ 高増春代訳 CCCメディアハウス刊 『世界を変える「デザイン」の…
夜は雷鳴に睡り 朝は郭公に目醒める (それは一万年年前と変わらぬ響き) 閑古閑古の啼き声を聴きながら 「井筒俊彦英文著作翻訳コレクション」第一回配本 古勝隆一 訳『老子道徳経』読む 。。 (二千五百年前よりの伝言) 何度読んでも荘子や老子はその度に…
ボードレールによれば 「ダンディスムとは一個の落日である。」 若い頃はそれほどピンとこなかった言葉が 年齢とともに深みを帯びる あるいは 反作用のように こんな言葉がアーカイブからよみがえる 「青年は、午前八時、九時の太陽のように、 生気はつらつ…
あかるく軽い半透明の緞帳が 昇がるのか降りるのか 櫻花が散って また古くてあたらしい春がはじまる 。。 山桜 里桜 老木 幼木 八重 一重 淡い白から 薄紅にいたる さまざまな樹種の 桜並木や桜山の壮観を眺めながら(も) 散ることを殊更に肯定する 靖国戦…
電子的野獣と化した現代人は 神を殺しただけでは飽き足らず 今度は「真実」まで殺そうとしている 。。 それは 滅びゆく「新バベルの塔」としての 反知性主義宣言であり 真実のみならず 知性の縊死溺死扼殺であり 邪悪を愧じない超悪質な商業メディア 新聞テ…
順不同 ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン フィリップ・グラス ジョージ・マーティン ボウ・ブランメル 関係あるような ないような四人組 怪態奇矯な言い方をあえてすれば ブランメルはもちろん ウィトゲンシュタインも ジョージ・マーティンも 書架に並べ…
ふと 老いた騏驎から老騏驎という語を思いついた 「騏驎も老いては駑馬に劣る」 のキリンである なかなか語呂が良い そこに 森於菟さんの名著から『耄碌寸前』をつけると さらに良い感じだ 「耄碌寸前老騏驎」 解剖学者があの「古典」を書いたのは七十二歳の…
駒場の日本民藝館から 『美の法門 日本民藝館本』2016年3月刊 『柳宗悦とバーナード・リーチ往復書簡』2014年7月刊 二冊が届いた 「柳とリーチの往復英文書簡集」の存在は知っていたが これまで購入には至らなかった 。。 それが 先日ヤフオクに未見の『美の…
はじめに永劫があった 姿のないものとして 質量を持たず 無生物かつ無主物として 量子より小さな萃点 絶対零度以下の 凍れる萃点として あるともいえない ないともいえない 永劫のまわりは無であった 永劫はまったき空無のなか 永遠の無として 永久の虚とし…
ハインツ・アルフレート・キッシンガーは ドイツ生まれの帰化アメリカ人であるため「大統領職」には就けなかったが 外交史上に 多くの凡庸な大統領以上の足跡を残している 驚くべきは 九十三歳のいまなお現役の「大物政治家」として 昨年の十二月に訪中 ドナ…
すでに過去形である いいか ブラザーズ&シスターズ よく聞けよ これまでもいまでもこれからも 人間が作ってきたものは 作るものは 糞尿と赤ん坊以外 すべてゴミクズだ かつて羊水に浮かんだ胎児 嬰児 幼児も やがて泉下の塵となる その 蜉蝣にも似た儚いニ…
「人は水辺に棲むべきだ」 は C.G.ユングの生涯を貫いた理念だが そこには 「可視化する無意識」 あるいは「浄化可能態としての無意識」の神秘が潜んでいる ようにおもう 里山の温泉ちかくに移り棲んで二〇年 厭離穢土 濁世を逃れ 一年の大半をビーサンと半…
ボードレールの『人工楽園』やベンヤミンの『陶酔論』 あるいはブルトンの『溶ける魚』その他を 思い出すまでもなく 芸術あるいは思索と 麻薬やカンナビノイドの関係は避けて通れない しかし 非合法のドラッグを体験するのは 万人向けではないだろう β-エン…
さて 時には地上的なことも考える必要がある ぼくは これから起こる 大規模な「出版クライシス」を 怜悧に客観性をもって観察するつもりだ もう雑誌の売上は四〇数年前の水準に戻っている 1979年以来の「雑高書低」が終わり これまで低かった書籍の販売額を…