2002-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『原弘と「僕達の新活版術」/活字・写真・印刷の一九三〇年代』

あまり聞き慣れない「新活版術」とは1920年代から30年代にかけてドイツ、オーストリア、ハンガリー、チェコスロヴァキアなど中欧諸国を席巻した国際的な近代タイポグラフィ運動“ノイエ・テュポグラフィ”を訳した言葉だ。 それにしても 良いタイトルだ。読ん…

Paul Klee/“旅の畫帖”

20世紀の画家の中で 最も画題の付け方が詩的で 巧かったのが パウル・クレーだ。 彼には言葉というものが コンパクトに何を持ち運んでいるか 分かっていた。 だからパウルは 言葉に対して凡庸な感覚の画家なら単に『自画像』とするだろうペンによる素描に 《…

【声】

声とは ここから 越えて行くもの。超えるもの。請うこと。乞うこと。 人を恋うこと。 やがて 声色(コワイロ)となって 壊すこと。怖がること。強(コワ)ばること・・・ ・ 声は 眼と並ぶ 魂の貌。 顔が 眼なら カオガ ガンナラ 声は 性で聖 聖性だ。 コエ…

【顔】

夷齋學人こと石川淳は『夷齋筆談』の冒頭に置いた《面貌について》で こう述べている。 「黄山谷のいふことに、士大夫三日書を讀まなければ理義胸中にまじはらず、面貌にくむべく、ことばに味が無いとある。いつの世からのならはしか知らないが、中華の君子…

【面】

お面・仮面・能面から面子(メンツ)・素面(シラフ)・面(ツラ)構え・面が割れるなど 面という字の意味や読み方使われ方は とても多面的で・オ・モ・シ・ロ・イ。 では 「面(メン)とは何か」と 正面切って考えると なかなかその答は 見付からない。 椅…

【貌】

面貌 容貌 美貌の貌である。一字なら 多くのひとは何と訓(ヨ)むのだろう。やはり「カオ」だろうか。 「面」が主として 外側からのカオを表すとしたら 「貌」は内面に言葉の重心を移しているのかもしれない。 内部から 顕れるものが「貌」の実体であるだろ…

B-52's

【The B-52's】 スティーブ・ジョブズはB-52'sファンなのだろーか? 最初のiTunesに彼等の曲が含まれていたから オヤッと思った。 どちらかと言えば 髪型だけ有名で それほど大ヒットを飛ばしたグループじゃない。 ボクのなかでは 大型戦略爆撃機だ。 ・ 追…

神秘主義思想家としてのJean-Luc Godard

一年に一度はないほど ごく稀に ECMから出た〈世界初の完全サントラCD〉 ゴダールの『ヌーヴェル ヴァーグ』を掛ける日がある。 今日がそんな日だ。 私は盲人になって 映画を見ている自分を想像してみる・・・ 犬が吠え・・・クルマの音が遠ざかり・・・ 電…

齊白石

齊白石 / Chi Pai-shih = Qi Baishi は 欧米や日本で最も良く知られた 20世紀中国を代表する文人画家でありながら 今でも誤解に満ちた扱いをされるケースがある。日本ではまず名前が間違ってしまう。 齊と齋は全く違う文字なのに 画数が多ければ 丁寧で偉そ…

中國歴代皇帝肖像/錦繍中華之一頁

子供でも 秦の始皇帝は知っている。若者とそれに毛や黴が生えたようなVACAMONOでも ‘ラストエンペラー・溥儀’の名は云えるだろう(笑)。 でも東アジアに生きる〈大人〉なら 隣国の皇帝をせめてあと三人程は憶えていて欲しい。 「風流天子」こと11,12世紀北…

康煕帝

虎は死して 皮を残すといいますが 清朝の愛親覚羅氏 聖祖仁皇帝 康煕帝は『康煕字典』を残して永くその名を留めることになりました。 その『康煕字典』の文字を基本に 様々な修正を経て作り上げたのが現在 日本で広く使用されている「明朝体活字」です。 少…

顔眞卿

世界中がどれほどデジタル化されても 日本が漢字文化の国である限り 読み方だけでも憶えておいて欲しい人名のひとつ。 「がん・しん・けい」と日本では呼びます。 現代の漢字/活字/フォントの基礎を作ったとも云える 西暦8世紀 唐代の官僚にして名筆家。 パ…

書法 / Calligraphy of the Masters

広い意味での中国が発信するサイトには 欧米や日本とは 又違った美意識があります。欧文と漢字との共存を目ざしている点で 此のHPは 参照するに価します。 ・ かつて中国人が日本に来て 驚くことのひとつに『書道』という言葉があったと云います。 日本では …