2002-01-01から1年間の記事一覧

蟷螂

私は何かと蟷螂とは縁があるようだ。 昔持っていた熊谷守一の書は 『蟷螂がいよいよまかり出で候』 という 此を書いた最晩年の心境と関係あるらしい、 よく考えると少し不思議な物だったし…… さて。 昨年か一昨年の事。 温泉に向かう山道に一つの色鮮やかな…

Christo and Jeanne-Claude

少し年季の入った現代美術ファンなら 単に「クリスト」で記憶しているだろう。 しかし今は「クリスト&ジャンヌ=クロード」 が正しい呼び方となっている。 (正確には94年から「Christo&Jeanne-Claude」 になりました。) 世界に70年代の始まりを告げた あの…

GILBERT and GEORGE

ジョージは1942年プリマス生まれの英國人。 ギルバートは1943年生まれのイタリア人。 二人は倫敦のセント・マーティンズ美術学校で 1967年に出会いました。 少しばかり歳を喰った学生だったんですね(笑) あ、失礼致しました。 その頃二人が学校の屋根の上…

Liberty print/リバティ百貨店

殺伐とした時世だからこそ 『モードに見るプルースト』 (長谷川富子著・青山社)なんて本を 典雅に斜め読みしていたら 写真にこんなキャプションが。 《リバティのネクタイに椿の花をつけ、気取っている プルースト(1891) 》 ホホーッと感心していると 本…

2801Plus・・

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Giorgio Morandiの光と匂い。

モランディに 惹かれるようになったら、 あなたは 大人になり掛かっているのかもしれない。 或いは 此の、大人になることが困難な国で 本当の大人に なれるかもしれない。 彼の 光と風の匂い そこにあることの神秘 地上にとどまりながら この上なく静かに息…

『真理のことば』中村元

ダンマパダ(Dhammapada)の名で 南方アジアに古くから 親しまれた教典。 『法句経』(ほっくきょう) として我が国でも 大正年間から 翻訳され 読まれてきた。 中村元先生の訳文は パーリ語の原文の持つ 簡明さ(だからこそ愛誦された)を伝える。 『その簡…

『超越のことば』井筒俊彦

信じられない《「不可視界」の「濃霧」の奥から、 神の声が聞こえてくる。 神の声、神のコトバ。 ヤスパース的な表現を借りるなら、 神が人間に向かって「暗号」を送ってくるのだ。》 20世紀はもっと 精神的に深く豊かな世紀になる筈だった。 我々は足踏みし…

老眼鏡について私が知っている二、三の事柄

40を幾つか超えた頃 世界が急速に輪郭線を失い始めた。 おまけに何だか暗い。 黄昏時、 或いはトワイライトタイムを 私は好きな一刻として愉しんできた。 世界が光を減少させるに従い 私の心からも光が失われるようになった。 昏い…… 夕方の街灯は、五重六重…

少し昔のBarbour/Logomarkの変遷

今のBarbourには所謂ROYAL WARRANTが三つ附いている。 左から順に女王陛下、エジンバラ公、プリンス・オブ・ウェールズ 少し前までは二つだった。女王と大公。 その前は一つ。大公だけ。 (女王の紋章を見たければ英國大使館に行くといい ウンザリするほど大…

Krenit Bowl by Herbert Krenchel

デンマークやイタリー スウェーデンや仏蘭西 ノルウェイや独逸の工業生産物 にあるのが デザインだとしたら Made in NIPPONやKOREA.TAIWAN にあるのは 何だろう。 同じようなとは云えない 断じて云えない 彼岸此岸の 工業生産物の美的水準の差。 アジア人に…

AstonMartin DB7 Zagato

1961年に僅か19台が生産された AstonMartinDB4GTZagatoは、 アストンマーチンの歴史の中で 最も美しい車として知られている。 watakushiの乏しい記憶では3年ほど前 工場から当時のパーツが総て出てきたとかで 2,3台のDB4GTZagatoが アストンマーチン社と ザ…

戴冠する幼女/草間弥生

1980年代の初め頃、竹橋の国立近代美術館で 【一九六〇年代-現代美術の転換期】 という回顧展があった。 ネオ・ダダ、ハイ・レッド・センターを始めとする 〈反芸術〉の作家達の作品が一堂に会した画期的な 展覧会だった。 ギューちゃんこと篠原有司男や工…

中国製Hanesなんて着ない

TシャツといえばHanesだけど 総てのヘインズ Tシャツが 中国工場で作られるようになって 何年か経つ。 別に中国は嫌いじゃないけど 中国製のヘインズは着たくない。 だからMade in U.S.A.の奴を 自分用にストックした。 クルーネックもVネックも ある。 殆ど…

『武満徹←1930…………∞』武満徹

1964・3・20印刷・発行 発行者も武満徹 成城の自宅住所と電話番号 が奥付に書かれている。 私家版で限定500部。 18センチ四方の楚々として 爽やかな造りの本だ。 滝口修造が巻頭に 「夢から」 という短い序を捧げ 扉には 杉浦康平とのコラボレーション 「G-…

武満徹装幀『虚無への供物/中井英夫作品集』

1969年10月31日に初版発行。 何処か仏蘭西装を想わせる 瀟洒なホワイト紙の本体に 表紙の文字は青色と緑色を 極シンプルに用いている。 函はサム・フランシスの絵 に似た紺系アブストラクト 吉中道夫が描いた画の上に 【L'offrande au neant】 〈虚無への供…

BOOK OFFの『宇宙の関係のすべて/宮島達男』

光琳社が倒産して ブックオフに大量の本が流れた これもその一つ。 そして現代美術家/宮島の作品/本と BOOK OFFの組み合わせが 何とも現代日本的で シュールレアル (笑)。 現代美術センターCCA北九州 の発行で2800円もする 美しい装幀の 函入り本 なのに 2…

Skruf Designed by Ingegerd Raman

スクルフは100年をこえる歴史を持つ スウェーデンの小さな硝子噐メーカー。 今でも職人さん達がハンドメイドしている。 20年前からは 極めて才能のあるDESIGNER インゲヤード・ローマン がデザインしている。 完璧なバランス と 究極のシンプル まさに男のデ…

HONDA/CR110 CUB RACING/1962

1958年の初代モデルc100以来 今も生産が続いている スーパーカブは 20世紀の日本を 象徴し代表する 工業製品だ。 やがて半世紀/3000万台にも届こうとする カブの歴史の中で 一瞬だけ 奇跡のような 車種が市販された 昭和のまだ30年代 37年に出たCR110 嘘のよ…

Vincent BlackLightning/1950

史上 最も美しい二輪車は ヴィンセントHRDブラックシャドゥ/1949 であると これまで考えてきた。 処がこの画像を見て 考えを変えた。 保安部品もなくシートも薄い。 ブラックライトニング! 是をもって世界一とする。 ヴィンセント社の製品は それぞれ名前が…

BMW RS54

マン島TTレースでホンダが 日章旗を揚げて 日本でも 多くの少年が 大人より熱狂的な MOTORCYCLE FANに なった。 その癖は今でも抜けない。 そして記憶という奴は 決して薄れたりしない 寧ろ 時間により周辺/知識を巻き込んで 美化され 強化される。 だから …

BroughSuperior SS100

朝霧の中トーマス・エドワード・ロレンスは ブラフシューペリアを高速で走らせていた。 と、牛乳配達の自転車の姿が。 彼は緊急回避した。 それには自己犠牲をともなった。 スピードと危険の感覚がなければ 生きられなかった 英雄の 最期。 モーターサイクル…

STUFF/The Right Stuff

70年代半ばを 鮮やかに彩ったスーパーグループ 餓鬼の聴かないRock 親爺の聴かないJazz 莫迦の聴かないFusion。 呼び方はどうでもよかった。 コーネル・デュプリーや リチャード・ティーの ソロ・アルバムを含めて あの季節 彼らのLPを 繰り返し 繰り返しタ…

絵を描く妖精/堀内誠一

堀内さんが亡くなって もう15年になることに 気がついた。 不思議な人だったから 死んだなんて 今も ホントは信じちゃいない。 あれは福音館から出た 『絵本の世界・110人のイラストレーター』 を堀内さんが編集している頃だったから 1983年。 「ねぇ、どう…

執務室のWoz。

カシオの腕時計をして ダイエット・コークを飲む ウォズの前には PowerbookG4Titanium。 外付けプロマウス。 壁にはウッドストックのパネルが。 結構よく働くんだよね。Wozって。 ときどき犬も登場します。 お楽しみに。

毛主席語録・毛沢東バッヂ

手元に2冊の赤い小さな本がある。『毛主席語録』と『プロレタリア文化大革命の重要文献集』。 聖書を超えて50億冊とも云われる巨大な数が印刷された冊子だが今は中国ですらコレクターズアイテムになっているようだ。 ゴダールが67年に制作した[中国女]で…

『一銭五厘の旗』花森安治

この本は 写真はグラビア印刷で 文字は活版 つまり2度刷り 外函にいたっては グラビアの4色刷を 校正機で一枚ずつ 手刷りしている。 何という優雅さ! 戦後に生まれた書籍の中で 僕は最も美しいほんの一つだと思う。 大判のソフトカバーに 函を付ける 美意…

雑誌『工藝』

1931年、柳宗悦によって創刊され 15年戦争と重なりながら出され続けた 世界出版史上に残る雑誌。 総てが和紙に印刷され、 表紙は基本的に版画/漆絵/手織り布等の技法が用いられ 本自体が工藝品であった。 1951年刊の120号をもって終巻。 最終号の後記を 歌手…

無人戦闘機BOEING X-45

遂に合衆国空軍とボーイング社は 非人間的にして無人格的 戦闘機を開発した。 2008年には実戦投入されるだろう。 【最新のCNN/ロイターに拠れば 米国防総省は次世代の無人爆撃機Xー45Bの開発を早急に進めるため 4億6千万ドルでボーイング社と契約したと発表…

『茶の本』岡倉覚三

天心 / 岡倉覚三は 20歳を超えるあたりから 余の輝ける英雄となって今日に至っている。 東京美術學校を独力で作り 奇矯な制服を定め 騎乗して通う。 さらに 官僚的な輩に 自ら創った美術學校を追い出されるも 横山大観、下村観山、菱田春草ら 少数の優れた弟…