『武満徹←1930…………∞』武満徹
1964・3・20印刷・発行
発行者も武満徹
成城の自宅住所と電話番号
が奥付に書かれている。
私家版で限定500部。
18センチ四方の楚々として
爽やかな造りの本だ。
滝口修造が巻頭に
「夢から」
という短い序を捧げ
扉には
杉浦康平とのコラボレーション
「G-スコア」が飾られている。
二人は1962年にも共作の
[弦楽器のためのコロナⅡ]を
『美術手帖・現代のイメージ』で
発表している。
‘図像による自由演奏の試み’
此に関して
武満はこう書いている。
《奏者は色彩と形態および濃度には特に敏感でなければならない》(弦楽のためのコロナⅡ より)
総て此のささやかで爽やかな冊子から始まった。
私家版らしく本の表2と表3に
武満の印鑑が押され
反故になった楽譜を
小さく切って
栞として
挟んであるのが
微笑ましく
まだ34歳だった
彼の繊細さを偲ばせる。
ブック・デザインは
粟津潔。
薄いクリーム色が
精神の純血性を
暗示している。
ところで音楽版全集だそうです。