老眼鏡について私が知っている二、三の事柄

40を幾つか超えた頃

世界が急速に輪郭線を失い始めた。

おまけに何だか暗い。

黄昏時、

或いはトワイライトタイムを

私は好きな一刻として愉しんできた。

世界が光を減少させるに従い

私の心からも光が失われるようになった。

昏い……

夕方の街灯は、五重六重に霞んだ。

大袈裟ではなく私は世を儚んだ。

嗚呼やがて光は失われ

あの世界は二度と甦らない。

暫くして

ふと気づいた。

是はもしかすると「老眼」て奴じゃないか

眼科医に駆け込み診察を受け

やはりそうである事を確認した。

老眼鏡の処方箋と

序でに

近視と乱視の処方箋も作らせた。

長年サングラスを愛用してきたが

裸眼での視力は

日常生活に差し障りがないのが不思議なほどに

悪かった。

視力とは目の力とは不思議なモノである。

さて老眼と決まると愉しくなる。

機種の選定が待っている。

日本で作る外国ブランドは勿論の事

評判のいい国産品も避ける。

純粋に外国で作られた眼鏡。

意外どころか可成り少ないんですね、これが。

アメリカ、独逸、仏蘭西、イタリー…

初めに乱視/近視鏡が決まった。

これはRayBanのWAYFARER FE

を度付きサングラスに仕立てる。

さて待望の老眼鏡。

金の弦と小振りなオーバルフレームの

GIORGIO ARMANI

何が優れているかと云えば弦が外側にも開く

これは脱着の多い老眼鏡には大変便利な機能だった。

初めての老眼鏡だから判断を誤った事もある。

老眼鏡だから古風に

消えつつある硝子レンズを入れた事。

何年かで度が進むからそうしたら保存しよう。

その時はレトロな硝子レンズの方が

アンティークっぽくて面白い。

それは間違いではないかもしれない。

しかし私は読書を日常とする人間である。

下向きでの使用に重い硝子レンズは適さない。

重みで眼鏡が下がってしまうのです。

これはCHUMSのコットン製Retainerをつける事で

解消しました。

長さを変えたCHUMSによるレイバンアルマーニの二段掛け。

他にやってる人がいませんからこれは一部の若者に受けました。

歳喰ったら是非やりたいと。

ヒントは一昔前の従軍カメラマンがライカを二台ストラップの長さを変えて

提げていたでしょう。

要するにあれをやりたかったんですね(笑)。

何年かアルマーニを使用する内に度が緩くなってきます。

経験を踏まえて新機種の選定に入りました。

今度は軽さを何より重視。

レンズは当然プラスティック!

素晴らしいデザインのを見付けました。

しかも大好きなデンマーク製。

LINDBERGのSTRIP TITANIUMです。

モデルは5020 48/20

チタンとシリコンだけでできています。

これは嘘みたいに軽い。

しかも薄いチタン製だから外側にも楽々開く事ができる。

もう手放せません。

幾度か無くしそうになったので、外には持ち出さない事にして

表では二軍落ちしたアルマーニを。

買い物や本を少し立ち読みしたりする程度なら

度の緩くなった眼鏡でも充分大丈夫です。

(ダラダラした九十九坂の如き文章は

 99本目のkeywordの為の特製・笑)

老眼鏡こそ お洒落に

少し先輩からのアドバイスです。