毛主席語録・毛沢東バッヂ

手元に2冊の赤い小さな本がある。『毛主席語録』と『プロレタリア文化大革命の重要文献集』。

聖書を超えて50億冊とも云われる巨大な数が印刷された冊子だが今は中国ですらコレクターズアイテムになっているようだ。

ゴダールが67年に制作した[中国女]で本の姿しか見たことのないヒトもいるだろうから、本文から少し引用しよう。

革命は、

客を招いてごちそうすることでもなければ、文章をねったり、絵をかいたり、刺しゅうをしたりすることでもない。そんなにお上品で、そんなにおっとりした、みやびやかな、そんなにおだやかでおとなしく、うやうやしく、つつましく、ひかえ目のものではない。革命は暴動であり、一つの階級が他の階級をうち倒す激烈な行動である。

     湖南省農民運動の視察報告[1927年3月]

アメリカ帝国主義

いたるところで横暴のかぎりをつくしており、自分自身を、全世界人民を敵とする地位におき、自分自身をますます孤立させている。アメリカ帝国主義の手中にある原子爆弾水素爆弾は、奴隷になることを欲しない全ての人をおどしあげることはできない。アメリカ侵略者に反対する全世界人民の怒りの波はくいとめることができない。アメリカ帝国主義とその手先に反対する全世界人民のたたかいは、かならずいっそう偉大な勝利をおさめるであろう。

     パナマ人民の反米愛国の正義の闘争を支持する談話[1964年1月12日]

世界は

君たちのものであり、また、われわれのものでもあるが、しかし、結局はきみたちのものである。きみたち青年は、午前八時、九時の太陽のように、生気はつらつとしており、まさに、伸び盛りの時期にある。希望はきみたちにかけられている。

 世界はきみたちのものである。中国の前途はきみたちのものである。 

  モスクワで我が国の留学生、実習生と会見したときの談話[1957年11月17日)]

学習の敵は

自己満足である。なにかを真剣に学習しようとするには、自己満足しないことからはじめなければならない。自分に対しては「学びて厭わず」、他人に対しては「人を誨えて倦まず」、これが、われわれのとるべき態度である。

    民族戦争における中国共産党の地位[1938年10月]

(まなびていとわず おしえてうまず と読みます)

今でも充分通用する事がある。

それにしてもおかしかったのはATOKが語録の文章を嫌がって嫌がって(笑)、「否定の連続」とかイロイロイチャモンをつけっぱなしなのには笑いました。

さて、そろそろコーダ。

毛沢東バッヂは80年代に入ってから渋谷の文化屋雑貨店に大量にあるのを見付けて入手した。この頃プロ文革批判が中国で強くなっていたから流出したのだろう。手元のものを数えてみたら19個あった。

大きさや素材など色々あって中国各地、様々な組織単位で作られたことが判る。ユニオンジャックの付いたのもある。英国のマオイストがプロ文革時に訪中した際、贈られたものの残りだろう。

赤い2冊の本はこれも20年ほど前、急に必要になって今はカリフォルニアに棲む友人から借りてそのままになっているものだ。

大切にしているとは云っても返さなくてはいけない。

資料的に書いておくと。

               毛主席語録 は1966年11月 

               出版者 中日出版社

               発行者 中華書店

               定価  180円

               全431頁

               書いてはないがおそらく日本語版の初版である。

           プロレタリア文化大革命の重要文献集 は  

               1970年初版発行。

               出版者 外文出版社(北京)

               発行者 中国国際書店

               定価  140円

               全371頁 

               中国の印刷で発行だ。

しかし、中国情勢は、語録の巻頭に

    毛主席の著作を読み、

    毛主席の話を聞き、 

    毛主席の指示どおりに事をはこぼう。 

                林彪

と書き、親密な戦友で後継者と決められていた筈の副主席が71年9月13日、息子の陰謀に加担し露見したためソ連製小型ジェット機で国外脱出を計り墜落死した辺りから更に風雲急を告げていく。(発表されたのはかなり後のことだが)

林彪だけじゃなく

周恩来

朱徳

江青

王洪文

巨大な虚無そのものの歴史のなかに還っていった。

まるで歴史小説の登場人物たちのように。

渺々たるなかに小舟が一艘。

嵐もあれば凪もある。

想えば遠くへ来たものよ。

ぼくはいわゆる「共産趣味者」や

「日中愛好協会」が嫌いではない。

むしろ面白いと思っている。

そこでこんなサイトへリンク。