盗泉の水を飲むな、虎の威を借りるな。

たとえば国公立大学の教師が定年になり、それを退職と呼ばず退官と称するのはあまり良い趣味とは言えないまでも間違いではないだろう。

しかし数年前から私立大学の教師の場合でも退職を退官と呼ぶ傾向があることに気がついていた。そして私立大学の教師を教官と呼んだりもする。

(民間で教官や試験官という名に唯一ふさわしいのは自動車学校で教える人たちくらいではないだろうか、、、)

退職より退官の方が偉そうで権威主義的な箔が附くからだろう。いまどきの大学の教師たちは官も民も実に権威主義的な輩が多いようだ/笑。

問題はその言葉を何の疑問もなく用いる学生の側にもあるだろう。自分の教師を「官」の一種と見なすことで自らの格も上げたい、そういう意図が国公立にも私立大学の学生にもないだろうか。

僕はなにも国立が偉くて私立がそうじゃないとかを言っているのではない。

官と民は自ずから違うだろうと言っているに過ぎない。

誰に言うともなくそう感じていたところ、先週の金曜日だったかNHKの番組で学生の就職活動の事をやっていて、驚くべき用語法を日本放送協会のアナウンサーまでもが用いていた。

学生たちの受ける民間企業の面接担当者を「面接官」と呼んでいたのだ。

これは全くおかしい、というより詐欺的に間違っている。

権威好きで莫迦な学生たちが退官と同じく、面接の担当者のことを面接官と呼ぶ傾向があることは知っていた。

しかし、NHKがその誤った用語用法を番組のナレーションで使ったことは影響を考慮に入れると、大げさにいえば犯罪的であり、許し難い行為だ。

私企業の面接担当者がいつから「官」になったのか。

○○も味噌もというあまり上品ではない言い方があるが、

民が官の威を借る社会が健全な筈がない。

社会の権威主義的な傾向は急速に強まっている。

母語こそが祖国であるとするなら、

この国はもはや本当に滅亡の寸前にあるだろう。