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「MEZCAL 」への旅

日記

「メスカリンドライブ」というガールズバンドがあった

   ズイブン大胆な名前で「村八分」や「裸のラリーズ」 「スピード・グルー&シンキ 」*より 

      グループ名は過激だったかも / 笑。

   一九八〇年前後 この国にガールズバンドが花開いた時代 

       水玉消防団とか少年ナイフ フランク・チキンズ ボーイズ・ボーイズ ジューシィ・フルーツ 。。。

           その頃

             東京ロッカーズくらいまでギグもお付き合いしたし

         まだまだ痩せていたし肩甲骨の下を超えるロングヘアだったけど

            ROCKとはゆるやかな「距離」ができつつあった 

                六〇年代に始まった少年期の終焉 

                   「新しいおとな」になることを準備する 青い寂寥が潜んだ独特な時節 。。。

                      ☆

           さて 尚古趣味というか 回顧はそれくらい

       ここからは メスカリンでもペヨーテでもない メスカルとアガベのおはなし

           発端はロベルト・ボラーニョ『2666

     もうボラーニョは読まないと 一昨年の二月に書いたのは大きな間違いだった

        あれはメキシコシティの場面だったか

   「昔と同じ造り方をしたホンモノのメスカルを呑ませる店」というような殺し文句が 

           二年経っても消えずに エモーショナルな飢餓を募らせていた

        思い立ち 昨年でた『ボラーニョ・コレクション』を読み始めた

            『鼻持ちならないガウチョ』 続いて『[改訳]通話』 

                   ボラーニョの小説は

 

        グラッパやマール 泡盛 ジン ウォッカ 芽台酒などと同様 慣れると病みつきになる 癖のある蒸留酒だ 

              今年になって新刊『アメリカ大陸のナチ文学』を読んだ

   『アメリカ大陸の、、、』は 紛れもない傑作だった ( 誰にでもという気はない が 伯楽 具眼の士ならわかる )

      コンパクトで簡潔な構造と構成ながら

         人生の理不尽さと苦みを充分に備えた 陶然とする掌編群を惜しみおしみ読んでいる

            まるで何十年か前 アンブローズ・ビアスの短編

               喩えば『アウル・クリーク橋の一事件』を読んだときのように

                        。。。。。

         読書 温泉行と並行して ネットを駆使し 未知の酒 メスカル研究を始めた

    とにかくボラーニョの言葉「ホンモノのメスカル」だけが基礎知識のすべてだった

             六月 七月 八月 

                この夏 乾いた砂に水が染み入るように 知識を吸収する 

   『2666』 ボラーニョの云う 古典製法による本物のメスカルを呑ませる店のひとつがこんな酒場だろう 

            「メスカロテカ」はオアハカ州 州都にある「メスカル図書館」と呼ばれる宝石のような酒場

           全体像を見たければ(左上方の SOBRE MEZCLOTECA をclick)

             あるいはこんなカウンター

                うっとりするようなバー・ボトル

  さまざまな竜舌蘭/アガベの種類を覚え メキシコ各地で造っている様子を見 蒸留方法の微妙な差も理解できつつある

               ゆっくりと 焦らずに

         気分はすっかりメキシコ高地に飛んで 愉しい夏を過ごした

          うかつにも今まで気が付かず あれこれ勉強して「初めて気づいた」ことがある

  醸造酒と蒸留酒を問わず 世界の酒のほとんどは 葡萄 林檎など各種果実 各種の麦 米 芋 砂糖黍など糖分や澱粉を含む植物から

     糖化発酵を経て 醸造あるいは蒸留されている

       それらは基本的に草本・木本の区別なく 一年性の植物 穀物あるいはその年に結果した果実である

   ところが メスカルと その「甥や姪」のように工業化された蒸留酒テキーラだけが

             例外的に

      八年から一〇年 長いものでは三〇年を経た 竜舌蘭の球茎部/ピニャを原料とする

   (アガベ=マゲイ100%の品質を保ちながら安価にする方法として五年くらいの若いピニャを用いたテキーラも好評と聞く)

         しかし野生種や高地種は生育が遅く 採集まで長い歳月を必要とする 

            一年で収穫できる大多数の原料と 一〇年二〇年を必要とするもの

                 栽培できない野生種を刈りとる

              この辺りの事情も貴種好みの老生がメスカルに惚れ込んだ由縁だ / 笑。

        メスカル原料となるマゲイには四〇種類以上あるとされるが

    多くは エスパディン種/ESPADINから造られる

       エスパディンはテキーラの原料であるアガベ・アスール・テキラーナ種(ブルー・アガベ)の先祖にあたる

     

         オアハカ州オコトラン村にしか育たないDOBADAAN /ドバダン

            メスカルの王様と呼ばれる高地に自生する貴重なTOBALA/トバラ種アガベから造るトバラ

                キングオブアガベとも呼ばれるさらに稀少な野生種TEPEZTATE / テペスタテ種メスカル

  

                    などなどなど 。。。

      東京六本木にあるメスカルバー La Mezcaleria JICARA Bar & Grill  のメニューから

  きわめて魅力的な「ホンモノのメスカル」に関する文言を引用しておきたい それぞれ トバラ種とテペスタテ種の解説

  《 「メスカルの王様」と呼ばれるこの貴重な品種は、ほとんどが自生のものです。

    標高が高く、岩の多い日陰の土壌を好み、他種のように子株による増殖はせず授粉はもっぱら野鳥やコウモリに頼っています。

    トバラ種から造られるメスカルはフルーティーでより複雑な味わいになる傾向があります。》

  《 こちらも野生種で、成熟まで30年もの月日を要します。

   当然メスカルの生産量は極端に少なく、十分に成長したアガベが手に入るときしか造られません。

   ただし、この種の見分け方はとても簡単。「キオーテ」と呼ばれる背の高い茎の先に、鮮やかなカナリア・イエローの花が咲くためです。

   テペスタテ種から造られるメスカルのアロマは深く、まるでやさしく香る香水のようです。》

     醸造の際 酵母を用いずに自然発酵させ 標高8200フィート/2500㍍級の山岳地帯に自生する高山種からつくったそれは

         山岳スピリッツ/精霊そのもの 山岳そのものだ

          ひと瓶のトバラ ひと瓶のテペスタテ 

                一杯のメスカルはメタモルフォーゼした山岳信仰そのものだ

                   掌と咽喉に顕現する高地高山山岳の風雨と冷気の精霊 !!!

       「ピエルデアルマス」製品を小規模に輸入しているアンドメスカルのHPにあった

    まるで秘儀のような古典製法を解説する この魔術的な惹句にあなたはクラッとこないだろうか 。。。

       〈 Mezcal de Conejo メスカル・デ・コネホ/アボカドス〉

 《 アガヴェを100%使用し、3度の蒸留を施した若い手作りメスカルです。

  製造過程のコンディションにより、アルコール度数は49〜51%となっています。

  毎年11月、ピエルデ・アルマスは、このメスカル・アボカドスを、ごく限られた量のみ製造します。

  メスカル・アボカドスとは、古くから伝わるフルーツ(クリオーヤ)、アーモンド、アニス、

  そしてイエルバ・サンタ、つまり野生のウサギの腰肉を蒸留器の中に吊るし、風味をつけたメスカルです。

  果樹園の果物やミントタラゴンの香りに加え、奥の方に、ほんの微かに、野生のウサギの風味が感じられます。》

      〈 De Pechuga  デ・ペチューガ 〉

 《 アガヴェを100%使用し、3度の蒸留を施した手作りメスカル。

  アルコール度数は49〜51%です。このメスカル・アボカド(フレーバー付きメスカル)は、毎年11月に数量限定で発売されます。

  チチカパムの村の長老たちによって守られてきた先祖伝来のレシピを忠実に守り、エスパディンあるいはドバダンを、

  たっぷりの野生のフルーツ と一緒に3度の蒸留にかけ、ごく弱火でゆっくりと蒸留します(200リットルを蒸留するのに18時間かかります)。

  加熱されたメスカルの蒸気が水滴となってチューブに移動する前に通る蒸留器の内側に、

  野生の七面鳥の胸肉(オリジナルレシピでは鶏の胸肉)がつり下げられています。

  それゆえ、このメスカルはペチューガ、つまり胸肉と呼ばれているのです。》

      かくして ぼくのこころは稀少野生高山種アガベによるメスカル「トバラ」や「テペスタテ」などに占領されている

         特に貴重なこの二種類を中心に 一〇本あるいは二〇本ほどのコレクションをつくりたい

           メスカル蒐集への旅はすでに始まっている 。。。。。

  

        

   *「スピードグルー&シンキ」がなぜ過激か意味の分かるひとはロックおよびドラッグの知識が豊富すぎ / 笑。

     スピードは シャブ Sとも呼ばれる覚醒剤 グルーはプラボンドなど シンナー系の接着剤