軍隊 。 病院 。 監獄 。 学校 。 そして 図書館
アンジェラ・デイヴィス『監獄ビジネス/グローバリズムと産獄複合体』上杉忍 訳
図書館に返却する。
いまだに国家が好きだったり 国を信じて権力に依存するひとたちの中には
警察や検察 裁判および刑務所が「正義の味方」だと 考えている人がいる
それらの いささか純朴すぎて暗愚なひとびとには まさに「青天の霹靂」
頂門の一針たる「劇薬のような小著」
《 現在、全世界で合計約九〇〇万人が刑務所や留置所、少年院、移民収容施設に収容されている
が、そのうち合衆国には二〇〇万人以上がいる。この驚くべき数字を見ると、監獄はこれまでの
時代のようなものではなくなっており、もはや監獄制度そのものの存在意義を歴史的に問い直す
必要がますます高まっていることに気がつく。多くの人々が人種的に抑圧された地域社会からど
んどん連れ出され、隔離技術が装備された場所に収監されて服従を強いられ、暴力と疾病、そし
てひどい精神疾患に陥る環境にさらされているのを見過ごしてよいものだろうか? 近年の研究
によれば、監獄に収容されている精神病患者の数は、全国の精神病院に収容されている患者の数
の二倍だという。
一九六〇年代の末に私が反監獄運動に加わるようになった当時、二〇万人に近づきつつあった
監獄人口の多さに私は驚かされたものだった。もし、そのころ、誰かが三〇年後には一〇倍の人
間が収監されるようになるだろうと言ったら、私は全く信じようとはしなかったと思う。私は、
その時きっと次のように答えただろう。「この国のような人種差別主義的で反民主主義的な国(当
時は公民権運動の要求すらまだ実施されていなかった)ではありうることかもしれないが、強力な抵抗
運動を引き起こさずに合衆国政府がそんなにたくさんの人を投獄するなどということはありえな
いに違いない。いや、この国がファシズムにでもならない限りは、そんなことは起こらないだろ
う。」それが三〇年前の私の反応だったと思う。しかし、現実にはわれわれは二一世紀に入り、次
のような事実に直面することになった。すなわち、多くの国家の全人口よりも多い二〇〇万以上
もの人々が、シンシン監獄、レヴェンワース監獄、サンクエンティン監獄、あるいはオルダーソ
ン連邦女性監獄のような場所に閉じこめられているのである。合衆国の人口は全世界の五%以下
しか占めていないのに、監獄人口では全世界の二〇%以上を占めていることを知れば、この数字
の持つ意味は一層明らかとなる。エリオット・カーリは「今日、監獄はわが国の歴史上、あるい
はその他の産業民主主義国家の歴史上かつてない不気味な存在となってわれわれの社会に立ち現
れつつある。主要な戦争を除けば、大量投獄は現代の最も完全に執行された政府の社会計画だっ
た」と書いている。 》 [ 第一章 監獄改革か、監獄廃止か ]より
☆
奴隷制度よりはるかに酷いと云える「囚人貸出制度」の実態をこの本で知った
《 奴隷の場合は、何といっても重要な財産だったのだから、奴隷主が自分の個々の奴隷
の生命に関心を抱くことはありうることだった。ところが囚人は個々に貸し出されるのではなく、
集団で貸し出され、収益に影響を与えることなく文字通り死ぬまで働かせることができた。》
慄然とする 制度
あるいは
《 死刑廃止は重要なのだが、今日の死刑廃止運動には懲罰の主要形態として監獄を生み出した歴史に
立ち戻ろうとする体質があることにわれわれは警戒する必要がある。》
日本の死刑廃止論者のなかには「監獄愛好家」が潜んでいると睨んできたが アンジェラも同意見のようで
わが意を得たり 、、、。
二一世紀の人類と基本的人権に関心のあるひとは ぜひお読みいただきたい
産獄複合体の日本的応用として
「囚人貸出制度」とフクイチが結びつく可能性は 無視できないように思う 、、、、、
あるいは 列島全体の 監獄化
☆
ぼくは 軍隊と監獄だけでなく 学校と病院も 嫌いだ
それらの「根/ルーツ」は同根 一緒である。
すなわち 「管理と効率が 人権に優先する場」
☆
今も生き延びている 稀有な 敗戦による民主政策