野営する皇帝・マルクス・アウレーリウス・アントーニーヌスは
1800年もの長期に渡って読み継がれてきた『自省録』のなかで
《すべてかりそめにすぎない》と陳べ
更にこう言葉を継ぐ。
《おぼえる者もおぼえられる者も。》
あるいはこんな行(くだり)はもっと直截で、むしろ快い。
《エピクテートスがいったように
「君はひとつの死体をかついでいる小さな魂にすぎない。」 》・・
人々がパーソナルなコンピュータを自分の分身としている21世紀
一瞬にして消えていくディスプレイ上に明滅し流動するテクストを想うとき
これらの言葉は新たな響きと輝きをもつだろう
すべては 仮の物 仮の姿である と