書籍

『一銭五厘の旗』花森安治

この本は 写真はグラビア印刷で 文字は活版 つまり2度刷り 外函にいたっては グラビアの4色刷を 校正機で一枚ずつ 手刷りしている。 何という優雅さ! 戦後に生まれた書籍の中で 僕は最も美しいほんの一つだと思う。 大判のソフトカバーに 函を付ける 美意…

『茶の本』岡倉覚三

天心 / 岡倉覚三は 20歳を超えるあたりから 余の輝ける英雄となって今日に至っている。 東京美術學校を独力で作り 奇矯な制服を定め 騎乗して通う。 さらに 官僚的な輩に 自ら創った美術學校を追い出されるも 横山大観、下村観山、菱田春草ら 少数の優れた弟…

衣裳論/ERIC GILL

朗文堂から『評伝 活字とエリック・ギル』が出てフォントデザイナーとしてのギルは認識され慶んでいる。 そこで別の側面。 1952年、創元社から出た『衣裳論』の序文を書いた花森安治はこう述べている。 〈下らぬ衣裳記事は山のようにあるくせに、まともな衣…

『十五歳』ポール・ジンデル著

ふと思い出し、遠い目をしながら探してみた。 79年に角川書店から出た小説。 龍田八百・訳 ポケットに洗い熊の仔を入れ高校に通う少年。 父親は彼にこう教える。 「いいか、お前どんなことがあっても 眼ン玉だけは踏まれるんじゃないぞ。」 何だかとても気に…

『一図書館の由来記』栗本和夫・著

小さく美しい書肆として知られる中央公論美術出版から 1980年に出された。 貴石のような本。 此処で語られている図書館は おそらくこの邦で 最も美しいそれである。 不定期に開館され続けている。 要電話予約 長野県諏訪郡富士見町境六三〇七 財団法人 栗本…