ふと
老いた騏驎から老騏驎という語を思いついた
「騏驎も老いては駑馬に劣る」
のキリンである
なかなか語呂が良い
そこに
森於菟さんの名著から『耄碌寸前』をつけると
さらに良い感じだ
「耄碌寸前老騏驎」
解剖学者があの「古典」を書いたのは七十二歳のとき
指折ることもなく
それまで
隻手で足りるようになった
生意気が半ズボンを穿いただけの
あの三歳児が
いまや
モウロクスンゼンを自覚したロウジンとなっている
モウロクスンゼンロウキリン
ナムナムナムアミダブツ
六字名号や「少年易老學難成」に代え
自家製の題目として
自戒の意を込めて
唱えようかと思う / 笑。
耄碌寸前老騏驎
夕餐まえの
春の黄昏に
閑かに
胡蝶の夢として
老騏驎を念慮する
これは老人にしかできない技法だ