玩物喪志あるいはTea Caddy Spoon and Antique Bobbin Lace。

久しぶりに骨董的な世界と縁を結んだ。

露伴は「骨董」に関して同名の本を出し表題作で独特な論を展開しているが、http://www5b.biglobe.ne.jp/...

今回のそれは西洋骨董に属すもの。

デルフトタイルが二点、ベルギーレースは数点、ごく小さな銀器を四点。

古いレースを欲しいと願ったことはないが、

若い頃からデルフトで焼かれたタイルは欲しいと想っていた。

《念ズレバ現ズ》の言葉通り現れたそれらは

長い間ベルギーで暮らし高齢になったので帰国したご夫妻の蒐集品の一部。

絵のあるデルフトタイルの面白さは人物や遊ぶ子どもに附けられた影にもあると思うが、

手もとに来たこれもその例に漏れない。

1600年代、17世紀中葉に焼かれたタイルは天使の図柄。一枚は悪戯小僧風に箭を持ち、もう一枚の方はやや気取ったポーズで小さな十字架を掲げている。天使の足もとを走る影の愉しさ、、、

ベルギーレースはマリー・アントワネット仏蘭西製に飽きたらず密輸入し後の断頭台の遠因にもなったと噂される見事さ。繊細すぎるほど繊細なボビンのドイリーが三枚と、アフロディーテか春のニンフを想わせる半裸体の若い女性像と、犬を連れた少女の絵柄(赤頭巾ちゃんと狼かも知れない)の二点はややボールドに編み上げているが、物語性のあるアンティーク・レースは極端に珍しいとのこと。本当は高度な技術を要するのだろうが、どこか素朴さを感じさせるところに深い感興つよい共振を感じるらしい。まるで民藝美である。

少し吃驚したのは紅茶容れ用の銀の茶匙/Tea Caddy Spoon が銀器のなかでも一番人気のあるアイテムだという事実。確かにカトラリーのフルセットには含まれていない上に、茶器、茶道具の一種であること、それから何と言っても小さなところが愛されているようだ。勿論英国の産品。

いろいろな品物から昔の欧羅巴に思いを馳せている、、、あるいは人間の営みと物との関係を。

ああ、露伴より更に時代を遡って木村蒹葭堂の向こうを張り、曲亭馬琴や谷文晁に入り混じり、耽奇会にでも出して見たかったと南蛮骨董可愛さあまりのあらぬ妄想は、

春まだ浅き朝/アシタから募るのであった ←大莫迦/笑。