Robert Frank (1923~    )

願わくば 80歳になったロバート・フランクの魂に 安らぎを。

 

フランクが撮った「Mary and Pablo NYC,1951」

という有名な 妻が生まれたばかりの息子に授乳している写真がある。

家族写真として不思議なほどに幸福感のない写真である。

授乳しているのではなく 授乳の場面を撮るために胸を出させているのかもしれない。

何故なら乳児であるパブロは 眠っているから。

パブロは やがて …‥・青年になってから発狂するだろう。

それにしても 何故 

カート・ヴォネガットの息子 マークも一時期 精神を病んだ。

南方熊楠の子息も発狂し船から海に飛び込んで死んだ。

吉野秀雄の長男も発狂した。

巨きな父親を持ったが故に精神に異常を来した様々な例を僕は 想う 

〔強い狂気は寧ろ父親達のなかに存った‥‥ 〕

心は不思議だ。

人生はそれ以上に不可思議だ。

彼の云う如く 《人生は踊りつづける》のだ。

   人生という名のボールルームの壁紙は‘狂気’で織られているに違いない。

ときどき僕は想い出すだろう。

銀座のイエナ書店で邑元社版の『THE LINES OF MY HAND 』を見掛けた日の事を

そして いつまでもぐずぐずと 

瘡蓋を掻くように 思い起こすだろう。

何故あの時 あの本を 買わなかったのかと

懐かしくて 悦びに近くなった心の痒みと共に

30年も前の軋む階段をあがって 

懐かしい 匂いと陰に包まれるのだ。

手許にない写真集こそ 

記憶の中の本と写真こそ

       

       色褪せない

       最高の写真集である。

繰り返し眼にしていたアヴェドンの写真「ジューン・リーフ(画家)ノヴァ・スコシア 1975年 7月」

の女性が 

フランクの再婚した相手だった事に今日初めて気が付いた。

ノヴァ・スコシアで気が付くべきだった・・・

しかし 人生の日々はこれだから面白い 発見は悦びだ(笑。

↓アヴェドン撮影のフランク 他の写真家の肖像も大変に興味深いものがあります。