2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ある詩篇より 谷川雁 『伝達』

首都の勘定書 下宿の手すりで紫にすきとおり 咽喉まで昇って詩句は砕ける そんな風にひとりの韃靼人は死ぬ うすべにの歯磨粉を吹きちらして 寝巻はにがい薬草を咲かせ 青い木綿のきれをつけた村がみえる だが稲妻がつめたい岩を串刺すまで 水差しの魂はそこ…