いまこれを書いている
とりわけ重要な本や読みかけの本が
並ぶ 少し低い書架がある 。。
何冊かの『井筒俊彦英文翻訳コレクション』
ノイマン/マルクーゼ /キルヒハイマー
『フランクフルト学派のナチ•ドイツ秘密レポート』
未読のユンガー『エウメスヴィル あるアナークの手記』
などと一緒に メルロ=ポンティ
『自然 : コレージュ・ド・フランス講義ノート』が
置かれている 。。
この『自然』ときどき気が向くと
窓辺の椅子に移って暢気に読んでいる
なにせ
コッチは従心を過ぎた爺さんで
アッチは53歳で死んでから
60年も経つベテランの死者である
どちらもかなり憂世ばなれしているから
互いにさほど気を遣う必要はない/笑。
・
ところで
欧州を熱波が襲っている
これは観念の幽霊であった「共産主義」とは異なり
決して亡霊などではない 無慈悲な現象である
19世紀と20世紀世界は
人類の欲望を過剰に加速/推進してきたが
これらは絶望的なほど愚かに
「人類中心主義」に囚われていた
その結果がいまの世界の惨状である
農耕への直截な影響と大飢饉/大飢餓
広域での山火事 嵐と暴風 止めようのない気候変動
あらゆる悲惨さをともなった 驕った人類の
ブーメラン効果
蓄積された暴挙による自然災害である
これまでひたすら無言だった自然と超自然による「報復」とは
あまり呼びたくないが それに類した何か
恐ろしく深刻な現象が始まったことは確かだ
人類も共産主義を含んだ民主主義も愚かすぎた
そのことだけは厳然とした事実だ
・
「人類より樹木のほうが優れている」
これは
晩年のジョージ ナカシマ が辿り着いた心境だったが
本当に真理/至言といわざるを得ない
複雑で美しい木理を持つメープルバール材の老荘机
畝畝と無限宇宙を想わせる「Bird's eye maple」を眺めながら
その紋様が赦しであり救いであることに気づく
人間であることに深く傷つきながら気づくのだ
まるで木になったナカシマの精霊を視るように
複雑な木理を持った机と窓の外の雑木林を日々ながめている
・
自然には悪意もなければ善意もなく
ただひたすら霊性がある