「不思議な工場」 。。

 

はるか昔に読んだ

 自動ドーナツ製造機械の『ゆかいなホーマーくん』

   あるいは

     二〇歳を過ぎたころ読んだ『チョコレート工場の秘密

             「工場」童話を

     ふと 連想しつつ

       巨大産業になった「廃兵院」のこと考える 。。

           ごく軽い脳梗塞

              緊急入院した脳外科病棟

            血圧220mmHg

    複数の自動点滴をうけつつ

      「ワレ直感ス!」

       急患を載せたヘリコプターが離着陸する

        現代の巨大な最新病院は

          国内から大工場が逃げ出した跡を襲った

             労働集約型と資本集約型を兼ねた

             新世紀の「大工場」である

            ラインに変わってベッドがならぶ

          なにも生産しない工場

             修理工場というよりは

               消費専用工場

            時間を 経済を 人員を 生命を

              消費あるいは濫費する

                有機的であると同時に虚無的なファクトリー

                  「アンヴァリッド

 

         脳外ER病棟もリハビリ専門病棟も

           ほとんど老人ばかり 。。

           「産業廃棄物の動態保存」

         現代の廃兵院

     疾病工場は「生製品」としての患者を除くと

   軍隊同様の徹底した階級社会である 

      それは経営幹部や理事会を別として

         医師を頂点とする闘病組織だが

           ユニフォーム等によって階級階層が厳密に区別される 

  看護師 准看護師 薬剤師 MRI/CT技師 栄養士 理学/作業療法士

                                                    etc. etc.

        給食の配膳からリハビリの実習生に至るまで 

          二〇種類ほどのさまざまなユニフォームを見た 

              もちろん

      受付や案内 掃除やベッドメイクの人も

         緻密なピラミッド/ヒエラルキーに含まれている

           たしかに

             「病院工場」はかつての大工場に匹敵する

               多くの雇用を生んでいる

              理学療法士作業療法士はもちろん

            薬剤師や管理栄養士がベッド脇まで説明に来る  

          きめ細かい「労働集約型」産業ぶり

        大量の余剰若年労働力があってこその「過度の充実」といえる

               あえて言う

         医療産業と教育産業 葬式産業は

    形あるもの はなにも生まないけれど

      「医療法人」「教育法人」「宗教法人」は 

         税法上 手厚く保護されている

       旧来の第三次産業から分離して第四次産業と呼びたいホド

             この既得権益と過度の保護により発達した 

                高度「消費蕩尽システム」

           公文式から大学院まで 病院と介護施設 葬儀埋葬関連は

                いまや日本国内の中核産業である

              巨大な泥の病院船 ニッポン丸

           「ニッポン丸 みんなで沈めば怖くない」

  

             九日間の入院中

        ヘイドン・ホワイト『歴史の喩法』

         空海コレクション3『秘密曼荼羅十住心論』上

            読み終わる

       『歴史の喩法』で学んだのは「歴史が科学と芸術の間にある」

         と19世紀以来 歴史学者は考えてきたト

           「科学のふりをしてきた文学あるいは文芸」

             その時代遅れな中途半端さが

               現在の歴史学の不評を招いていると 。。

         空海『十住心論』の面白さは別格

            直接引用される老子荘子はもちろん 

             マルクス・アウレリウス『自省録』とも共通する

               透徹した智性

             けして読みやすい文章・文体・文字ではないが

               生きてる間に全体を三回は読んで

                 ワガモノとしたい

                   そう願っている