極東グノーシス / デクロワッサンス主義 温泉派の夕景色 

ボードレールによれば

 「ダンディスムとは一個の落日である。」

      若い頃はそれほどピンとこなかった言葉が

        年齢とともに深みを帯びる

           あるいは

             反作用のように

            こんな言葉がアーカイブからよみがえる

         「青年は、午前八時、九時の太陽のように、

       生気はつらつとしており、

     まさに、伸び盛りの時期にある。」

  「希望はきみたちにかけられている。」

     「世界はきみたちのものである。」

        半世紀前 そう呼びかけられた「われわれ」 。。

          あのころ

            ぼくらは 

               無謀にも

             ダンディスムと毛沢東思想を

           「止揚」しようとしていたのだ

         ボードレール毛沢東

       ふたりは「コレスポンダンス」そのもの

     すべてが対照的な存在だが

       ダンディスムとしての「黒い太陽」はありえた

         黒いヘルメットに表象される 

            アナキスムとは巨大な落日の謂だ  

              さらに

           ボードレールの言葉を敷衍すれば

       「さながら傾く太陽のように 熱を欠き憂愁に満ちた」

           こどもとして

         五歳のとき観た『幸福の王子』スライドショー 

                   本当に

               ふかく霊的な衝撃を受け 

            オスカー・ワイルドの魔法で幼年期の幕が閉じた

                   さらに

      「もはや余生である」そう豪語したのは二〇歳を迎えたときだった

                   乃公は

         幼いころから一個のヒップな落日であったのだろう 。。

                    ・

               狷介牢固な神秘主義者たる

                                       老荘アナキスト 佛教ニヒリストとして

         本と酒と温泉 無為放下した 生涯遁世に悔いはない

                     ・

              カワタレあるいはタソカレの透目にて

                       五月には秋のうたを

 

       夕寂て柘榴墜ちたる湯屋の道 誰もいないと猫会釈する

    ユフサビテザクロオチタルユヤノミチ ダレモイナイトネコエシャクスル