「脳内麻薬」と読書術 

ボードレールの『人工楽園』やベンヤミンの『陶酔論』

 あるいはブルトンの『溶ける魚』その他を

   思い出すまでもなく

    芸術あるいは思索と

      麻薬やカンナビノイドの関係は避けて通れない

       しかし

        非合法のドラッグを体験するのは

          万人向けではないだろう

β-エンドルフィン ドーパミンに代表される

 「脳内麻薬物質」。。

   強力な鎮痛鎮静効果のほか 高揚感や至福の感覚を与え

     自律した変性意識状態も可能にする

      これら天然の「快感物質」は二〇数種類が発見されて

        モルヒネ同様の働きをする

     この天与の脳内資質を有効活用しないとしたら

       それこそ「天然資源の浪費」である

         言わんとしているのは

          長距離ランナーや超一流のダンサー

            卓越した演奏家のハイに匹敵する状態を

           読書でも得る

          そのスキルを身につけること

       厳しい言い方をすれば

     一流の演奏者が難曲でも軽々とプレイするような

「脳内麻薬」が出ない読書は「三流の読書」でしかない 。。。

  「読書とは脳内で行われる演奏」だから

 読書という演奏行為は まずテクスト/譜面の選択から始まる

  くだらないテクストをどれほど一所懸命に弾こうと

   アタマの中でも虚しいノイズしか響かないだろう  

    丁寧につくられた誠実な「魂に響く」本しか読む価値はない

      逆に言えば 

       優れた演奏者は新聞の読書欄などを頼らない

        新聞などをまだ信じていたら

          その人は奴隷の魂しかもてない!!

        真面目に読んだところで古風な教養型国畜にしかなれない/笑。

       究極は 

     無造作かつ無作為に 

    読むべきテクストを手にできるようになる

      それを老荘読書と呼ぼうか 。。

   

  さて「技法上」具体的なことも書いておきたい

   次にやるべきは「没頭」の技術修得

     「無我夢中」「寝ても醒めても」を身につけること

        夢のなかでも本のことを考える

          読書術と 睡りと散歩と温泉浴は似ている

            睡りながら読み

              読みながら睡ることを目指す

                没頭没入とはそのような状態をさす

     詩と小説は奨められない

       歯ごたえのありそうな

        しかし優れた本を 。。

       厳しい本の方が その痛苦を救うために

    脳内麻薬分泌がはやく始まるはずだ

  それを一〇年ほどつづけてください

    深い読書という

      脳内演奏と脳内麻薬物質分泌が渾然一体になった境地に 

         気づけば到達しているはずです

            要するに

         幼児期に夢中で絵本を眺めたように 

        無我無私で没頭する

      老子第一〇章

   「気を専らにして柔を致して、能く嬰児たらん乎」             

   読書術と睡眠と温泉浴 高次な散策はとてもよく似ている

        それらには

          どこか「虚無の狂気」も匂っている 。。

            その玄妙さが「TAO」なのか