縮退 / 断片化する生命 膨脹する自我=ソフトな牢獄について
夜中の郭公
それは世界に対する殺人予告ではない
暗い窓辺で 密かに揺れている
色を喪った極楽鳥 あるいは宙吊りに裏返された埋葬許可証
誰が死んだのか 誰も気がつかない
ビアスによってその名を残す「歯医者」が書いた死体検案書まであるのに
(本当はもうだれもいないのだ)
無痛移植された3Dプリンタが 虚空に充満する内因オピオイドと協働して
設計図通り 高熱の有精卵を生みつづける
ヴォネガットの「アイス・ナイン」を引き継いだ「優しい物質」
経口摂取されたマイクロチップに連動したクラウドが すべて解消
さあ 皆さん もう 苦しむことは金輪際ありませんよ
野望も 欲望も 冀望も もちろん絶望など微塵もなく
あなた方は「もう生きなくてもいい」のです
人生そのものが科学的管理法/テーラーシステムに移管されました
まさしく
郭公と同じ真夜中
未来から逆流する 脱構築/déconstructionされた阿頼耶識が漂い
極彩色が氾濫する FACTORY に招かれた
ウォーホルは死んだが 秘密の造幣局は地下深く潜った
ウォーホル色+サイケデリックカラー
あらゆる色彩の奔流と氾濫による狂気の曼荼羅
猛烈な量のシルクスクリーンがプリントされたロールになって部屋中に下がり 壁と空間を覆っている
「このトイレットペーパーは全体が5Dプリンタで造られた芸術作品です」
「わたしたちは何でも造ります なんでも売ります」
「高いです 高いです 。 最高に高いです 。 高価な方が喜ばれます たとえお金のないひとたちにも 。」
残留思念を売る 存在しない未来を売る 虚無を売る
アート アルス ARS 巨大な手品 偽金造り
「知的」で「正直」だと信じてやまない高貴なサイボーグ大衆は 美術館で指を咥えている
幼稚「園」から「院」まで 新聞雑誌TV 映画スマホあらゆる「装置」によって権威と流行を植えつけられ
意気地なしで見栄っぱりで小心きわまる三流スノッブたちが
美術館でコンサートホールで教会で寺院でフットボールピッチ テレビの前で大型書店でスマホを手に
ボクシングの中継で F1中継で AKB選挙で
ありとあらゆる場所 あらゆる機会に
巨大銀行 財閥など「経済システム」に跪拝している
あるいは セクシーな金銭 ブランド化された性を
羨望渇望するひとびとの存在こそ
あらゆる成金を含んだ「守銭奴」たちの歓び
超高価だからこその「拝金教芸術」
いま 大衆の知るほとんどの芸術家とは
財閥 巨大銀行 保険屋 自動車メーカー 大製薬会社および
ブランド複合体 多国籍企業に飼われている 美術の得意なペテン師
現代に蘇った吸血ゾンビ 錬金術師なのだ
地下工場の床に直置きされた 丸みを帯びた真空管TV /TUBEのモノクローム画像
スピーカーが接続されていないのに 意味は飛来した
《 スタンダップコメディの大立て者 芸能界のリンカーンともキング牧師ともいわれた ある人が言った
もう一度 真っ当で辛辣なコメディが息を吹き返す頃には ニューヨーク中のバー・レストランだけでなく
アメリカの大都市すべての飲食店の 鍋底とグラスがピカピカになっているだろう 。。。。 》
これは 皮肉な真実として
大資本に疎ましがられた表現芸術とアルバイト/副業関係の実態を述べている
ああ 真性の狂気よ 来い あらゆる欲望を振り払う速度で 高速高圧 灼熱の狂気よ 人類を撃て
狂気の嵐よ
惨劇を怖れないるGewalt精神よ
虚無と民主政のハイブリッド 吸血商業主義を撃ち倒せ
★
その吸血商業主義の最上位構造こそ世界各地で展開される「アメリカの戦争」であり
兵站部としてのプルトニウム製造用 原爆発電システムなのだ
帝国主義+商業主義の頂点に君臨するのは 間違いなくビジネスとしての「戦争」である
わたくしたちは そのような甘言にみちた「煉獄」に暮らしている