虚妄・空疎な『ヨーゼフ・ボイスの足型』、、。編集者 よ 緊褌セヨ! ☜☜ / 笑。
さる睦月 極私的覚え書きとして《またまた「デクロワッサンス」論 》に
小声で誓言した
《「暮しをちいさく」の旨趣により
二〇一三年から 新刊の 国内出版図書を 購入しない。
( 画廊 美術館図録 大学出版 非商業出版 私家版は その限りにあらず )
もちろん公共図書館は これまで以上に有効活用する 》 は
簡素 簡勁 直截にして 輻輳した性格ゆえ 厳格に守られている / 笑。
さて 先々週末くらいに
「日本の古本屋」へ 新刊『ヨーゼフ・ボイスの足型』が早くも 定価の四割引きほどで
二冊も出ていた(二五〇〇円と二八〇〇円)
もっちろん 廉いほうを購入します
即日 あっけなく
蟷螂のおのおの方 手ぶらの坊主 禿頭の徒手空拳 唇さむし素寒貧風に 読みおえた
著者は 若江漢字と酒井忠康
この おふたり はじめて 読んだが
読後感
正直に披瀝すると 【寒心に堪えない】のひとこと
端的にいえば 【気取った 愚書】でしかない
この本の内容は
要約するまでもなく【 一九八三年七月十六日 土曜日 デュッセルドルフにある
ボイス アトリエの中庭で 若江漢字が 石膏によるボイスの足型を とった 】
それに尽きている 本当に それだけ 。。。/ 笑。
あとは
尾ヒレ 背ビレ 腹ビレ & 蛇足の行進 でした
とりわけ驚いたのは
美術評論家を名乗る公立美術館官僚 酒井忠康氏の 文章のひどさ
文章は 神経質に雑駁で
内容は ひたすら古くさい
80年代の現代美術理解 停止したままの 生きた化石の自慢話
もっとまずいのは 国内最高のボイス専門家を自ら任じる エピゴーネン 若江漢字 氏が
《 ドイツ空軍のパイロットであったボイスは、一九四三年 * ウクライナ上空でロシア軍の対空砲火をあ
び、瀕死の重傷を負い厳冬のクリミアに不時着する。。。》 云々
誤った「ヨーゼフ・ボイス元操縦士説」を 訂正することなく 流布拡散していること
第三帝国 敗色濃くなった戦争末期とはいえ
どこの軍隊が 通信兵養成所をでただけの若者を Ju87 シュトゥーカの操縦士にするだろうか。
急降下爆撃機 前方の見えない後部シートに座す二十三歳の無線士だったからこそ
墜落していく恐怖はパイロットに倍するものがあった(前席の操縦士は不時着時 死亡)
その死生を超える体験と感覚が
彼をジェイムズ云うところの「二度生まれ」に導いた
どーして そう考えられないのか
贔屓の引き倒しで パイロットの方が 無線オペレータより格好良い
それは あまりにも幼稚な想像力と 思われます
さらに苦笑したのは
《 ボイスは終戦まで飛び続け、最後は北部オランダの海岸地方へのパラシュート部隊の一員として、自らの先祖の地に降下し、
敗戦を英軍の捕虜キャンプの中で迎えている。、、、》
戦争末期 数少ない貴重なパイロットを 落下傘兵に しますか 。。。。
同じころ
現代・同時代美術をあつかった書として
香川檀さんの『想起のかたち:記憶アートの歴史意識』を読んだ
これは はるかに優れた研究だった
この本では ボルタンスキーもさることながら
あまり意識してこなかった レベッカ・ホルンとその作品に関して
蒙を啓かれた
それと
ドイツに起きた 〈 痕跡採取 〉〈 痕跡保全 〉のアート と その考え方に。
だからこそ
最近になって 入手した
Tacita Dean 『 Darmstätder Werkblock』Steidl 2009 年
が
まったくヨーゼフ・ボイスの《痕跡保存》のための写真集であったことを
理解した
皮相浅薄で古くさいボイス解釈 黴と塵芥だけを纏った
苔も生さない『ヨーゼフ・ボイスの足型』を 手にするくらいなら
ぜひぜひ
香川檀さんの『想起のかたち:記憶アートの歴史意識』を お読みください
あるいは
タシタ・ディーンの写真集『ダルムシュタットのブロックボイス展示室』をご覧ください
※ なんとこの本は対空砲火により撃墜された年まで間違っている 不時着は1944年3月16日のこと
それから「ロシア軍」ではなく「ソヴィエト赤軍」「労農赤軍」あるいは「ソ連軍」でしょ /苦笑。
現在の みすず書房は 校閲システムすら 機能停止しているらしい 、、、