残酷に晴れた日の 宛先なしの遺書 あるいは ラジオのように。

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《 類としての人心の驕傲と廃疾は現象界に転移する だろう

荒廃し傷んだ自然は あらゆる天然の「暴虐」となって人間存在を襲う

老生は真昼の流星群の下  壊死する気象と怒る大地を

もはや手遅れと 無情に眺めている 》

厳しいことば をプロフィールに掲げた のは 昨年の秋だっただろうか

いま 

例外はあり得ない あらゆる人びとが危機を迎えた 今

宛先なしの遺書のように あるいは 毀れつつあるラジオのように 

よく晴れあがった日の残酷さにも似た 『ナグ・ハマディ文書 チャコス文書 / グノーシスの変容』 から

大貫 隆 氏の訳で [われらの大いなる力の概念 心魂的アイオーン]の一部を

二一世紀の東洋に流れついた ひとつのグノーシスの欠片として

書き写しておきたい

《 1 心魂的アイオーンの悪、火によるその浄化、源初の穢れ、それが生み出す情念

§ 8 その次は心魂のアイオーンである。それは身体と混ぜ合わされていて小さい。それは魂の中に生み出すものである。それは穢されている。なぜなら、被造物の最初の陵辱が力を得たからである。そしてそれ(陵辱)は、あらゆる影響を及ぼした。すなわち、憤怒、怒り、妬み、吝嗇、憎悪、誣告、軽蔑と戦争、嘘と悪意の企み、圧迫と欲望、恥辱の行ない、辱め、陰謀、疾病、勝手気ままに下される不正な判決がそれである。

  2 勧 告

§ 9 お前たちはいまだに眠って夢を見続けている。目覚めて、立ち戻れ。そして真の食べ物を味わえ。いのちのことばと水を分け与えよ。あの悪しき欲望、願望、お前たちの本質にふさわしくない事物、何の根拠も持たない悪しき傾向から離れなさい。

  3 宇宙の悪が火によって浄化される

§ 10 そして、火炎の母は不能だった。彼女は魂と大地に火をもたらした。そして大地の上にあった家々を焼き尽くした。それから、彼女の焼き尽くす怒りが止んだ。もはや何も焼き尽くすものが見つからないならば、彼女は自分自身を焼き尽くすだろう。そしてそれは身体のないものとなり、物質を焼き尽くすだろう。すべてのもの、あらゆる邪悪を浄化するまで。もう何も焼き尽くすものが見つからないと、それは自分自身に矛先を向け、自分自身を破壊しつくすだろう。》