Prince of Wales=Charles が最も立派だった一日についてのささやかな考察。
私見では
二〇世紀は一九九七年七月一日に終わり
二〇〇一年九月一一日に 二一世紀が始まった
そのあいだは 謂わば「幕間」であり
「歴史の終わり」の認知期間としての空白でもあった
現代史としての『歴史』は香港からの「英國撤離 British Retreat 1997 」によって幕を閉じた。
この旧漢字と英文字の混淆にこそ
キップリングの「東は東、西は西。」をなかば溶解させた
「永遠のいま」が滲みながら揺れている
あの日プリンスオブウェールズは
大英帝國による一八四三年から続いた香港領撤退のみならず
西欧による二〇世紀までの富と権威・権力の独占状態へも告別の辞を告げたのだ
最後の香港総督クリストファー・パッテンによる撤離の儀式
あるいは
エリザベス二世第一王子による「香港の繁栄と平安」を祈った告別の辞
軍帽に雨天用の覆いを着けたチャールズ提督はまことに凛々しかった
幕引きの真摯な道化/clownとして 適任を超える立派さ
また
この日の『蛍の光』ほど 歴史への弔歌としてふさわしい楽曲はなかったろう
雨のなかランドレートップを揚げ しずしずと走り出すロールズロイス ファントムⅣ
英海軍差し回しの鉄鋼機帆船による 久しき植民地からの離岸撤退
これらに英国人の典雅で剛直な儀式性が十全にあらわれていた 。。。
そして
午前〇時ちょうど 中国人民解放軍部隊は
前照灯に軍用覆いをつけた二両のオートバイを先導に香港への進駐を開始する
そこにも
現代中国の無骨で実用的な様式美があった
誰がなんと云おうと
軸はおおきく 動いたのだ。
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皇太子が伊福部昭の『ゴジラ』をヴィオラで演奏したのがおおきなニュースになる国に
未来はない まったくない /笑。
トニー・ジャットが遺著ともいえる『荒廃する世界のなかで』で書いているように
イギリスにもアメリカにも暗そうで困難な未来しかないのに
理性にも客観性にも乏しく
忍耐力も道徳心も喪った
情緒的かつ夜郎自大な国民ばかりのこの国に あるわけがない 。。。。