家人が岳父の一周忌に出かけたので
白い侘助を一輪
遺愛の江戸鉄釉徳利に挿し
翁を偲んで
獨りぽつねんとさけを酌む。
大村剛の片口をデカンターに見立て
やすい仏蘭西の赤葡萄酒を注ぐ
酒杯はRoyal Copenhagen のbebe cup
「乳歯。」と名づけた。
これも傾いていてホントに感じがある/笑。
音楽はなし。
今夜はケロシン・ヒーターの燃焼音さえも神秘的に聞こえる
侘助に添え 花器の前に
色の酒肴として
Vivianna Torun Bülow-Hübeデザインの銀スプーンを椿の葉と一緒に置いた
白い卓上の銀と鉄釉の色に小さな葉の緑彩
あるいは片口の錆びた臙脂 搾られ睡らされた葡萄の色に
ゆるやかな寂寥感がよくでている
そして「乳歯。」は赤ん坊に与える最初の器だけあって
簡素だが強靭な形象。
老人のなかには嬰児が潜み
嬰児には老人が宿っている
が
老人とも嬰児ともやや距離のあるおとなは曙光と闇を孕んだ寂寥をみつめるのみ。