国際化社会を生きる/笑

丸善から500円の図書券が届いていた。この夏ある種のウイルスメールがニュースの定期購読者に送られたことへのお詫びだった。迷惑メールの丸善への抗議や問い合わせがそのまま大量に転送される「面白い」ものだったが、多くの人は怒って購読を中止したらしい。丸善がその直後、産活法を申請するほど傾いてしまったこともあり、この際、何か記念になる一冊に使いたいと考えていた。有力候補嵐山光三郎の古本に関する新書『古本買い十八番勝負』かな。で、それを買おうと思ってパルコにあるLIBROに行くと平台にTASCHENの本が並べられていた。ふと見ると『THE COMPUTER /An Illustrated History』の邦訳版『コンピュータ/写真で見る歴史 クリスチャン・ワースター』が¥800+税のシールを張られて何冊もある。わはは、これだこれだ、これを買うために来たのだ。「嵐山よさようなら!735円の集英社新書よさようなら 」これは新刊が3000円の定価で出た時から欲しいと思い、その後、半額になっているのを渋谷LIBROで見かけたときも何故か買わなかった〈宿命の本〉だ。

 勝った。

つまり僕はこの定価3000円+税=3150円の本を840円-500円=340円で手に入れることになった!!!。しかもこれはどちらかというとドイツの出版社の日本語版でありながらフランス印刷という一種の珍品奇本である。

さてそれから数時間後、思わぬ廉価で本を手に入れ気分の良い乃公は既に少なからぬ店を迷走ホッピングして大いにご機嫌だった。そこで例の午前中から営業し、通りから丸見えのところで焼酎を飲みながらチンチロリンをやっているような「悪い仲間/バッドカンパニー」が屯する店に行くと珍しいことに暗い。

さてどうしたものかとその辺りをぶらついていると、ごくごく怪しげな若い女性が近づいてきてカタコトの日本語で「飲ンデッテヨ、千円デ良イカラ」「嘘ヂャナイ、ホント千円ダケ」と袖を引くではありましぇんか。

件の不逞の店に誰もいなかったことの物足りなさもあり、酔狂に誘われるまま付いていくことにした。いやあ、驚いた。店内に座り辺りを見渡すと70歳をとっくに過ぎているだろうマダムの他にはあからさまなアジア系ヤング外国人がもう一人だけ。そのコスチュームを見ただけでビックリというか社会勉強になりました。女子高生の制服を模した超ミニ・セーラーでしかも全体がクリーム色!。ルーズソックス風な靴下もお約束通り穿いている。傍らを見ると「飲んでいってよ」の女性は3センチ以上はある編み目の網タイツにホットパンツ/笑。この珍妙なコスチュームは誰が考えたのだろう。老マダムかマダムとヤングの合作か。他に相客が何人かいてどれも30代オタク系の雰囲気。

ビールを注ぎながらホットパンツの女の子がおっしゃった。

「ドコノ国カラ来タノ、私ハたいらんどヨ」

ああ無国籍化社会の莫迦な夜はかくして更けていくのであった/笑。