『支那事変後方記録・上海』1938

日支事変とも呼ばれる海軍陸戦隊の日中戦争/上海での作戦行動を記録した映画。監督は亀井文夫

20年近く前に『戦ふ兵隊』『小林一茶』と一緒に観たので記憶がやや不鮮明で思い違いがあるかもしれないが、この映画で最も印象的だったのは戦闘中の作戦指揮所の中がとてもスタティックというか静かだったことだ。

伝令からの死傷報告を受け、新たな用兵/作戦を指揮/伝達する幕僚の冷静さは驚くほどのものだった。まるでチェスか何かの試合に近い空気・・・・。

その指揮によって人が死に、さらには人を殺しているとは到底思えない理性的で沈着な態度とその光景は不思議な「感覚」或いは「感慨」をボクに与えた。

その戦闘が「海軍」の特別陸戦隊によるものだったからなのだろうか。

作り物の“戦争映画”では考えられない 怒鳴ったり強張ったりしていない光景にむしろ特殊なリアリティと「怖さ」を覚えた。

冷静な狂気にこそ 病気の域を脱した狂気にこそ 真の「獣の王」が宿っているに違いない。

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ここで何故か唐突にオウム真理教の刺殺された村井という人を想いだした・・・・あの人には麻原彰晃よりずっと深い狂気が宿っていた・・・

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ところでATOK14には「支那」という言葉が入っていないことに驚いた。(「気狂い」が無いのは知っていたが)「差別的」な言葉を無いことにさえすれば史実が消えるわけではないだろうに。