“穴と裂線”に依る画布の洗練/Lucio Fontana

フォンタナの『空間概念』シリーズの一枚を視た時の    

    鮮やかな印象を今でも憶えている

       まだ十代半ばだった

         綺麗に開いた

          カンバス 

           上の

            

           ・

           線

         鋭い裂け目

        鮮やかな数本の線

      紛れもないアバンギャルド

    ボクの前衛好きはソノ一枚を起点と

   しているのかも知れない。倉敷美術館の。

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倉敷美術館で 最も子供たちに人気があり 絵葉書が売れるのは 今でもルーチョ・フォンタナだと 何かで読んだ。大人たちは 未だに 決まって首を傾げるそうだが・・・

 

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50年代から60年代のイタリア現代美術を代表するフォンタナの作品は 現在でも 前衛の光輝を失わず しかも chicですらある。〈洗練された前衛〉という矛盾に満ちたジャンルを設定するなら この人に敵うヒトはいないだろう。

裂線の作品も好いが、今見ると 穴のシリーズも何とも言いようのない 〈前衛的叙情性〉に満ちていて

惹かれるものがある。

ブロンズ作品も実に好いのがある。

彼は21世紀になっても 眞の巨匠の名に恥じない。