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ふたつめの雑嚢  補遺として。

一九六九年八月 盛夏 大阪城公園「ハンパク(反戦のための万国博)」会場

           大天幕の下

       ごくごく近くに 

   京都大学文学部 助教授職を辞したばかりの 高橋和巳が 座っていた

     かれは その年に発売された 

  当時もっとも軽いタバコだった「セブンスター(ズ)」 

落ち着かない様子で 二服ほど吸っては 慌ただしく 消し 

  新しいタバコに火を点け 咥え 消し 、、、また取り出す 

    焦躁 憔悴した感じで 繰り返していた

       ぼくは 

   一〇代だったが ヴァージニアブレンドの両切り「冨士」を喫っていた

    高橋和巳は「病者」だった 誰でもそう思っただろう

      だが 病んでいたのは 神経だけではなかった

         彼は 

      その翌々年 結腸および肝臓癌で亡くなってしまう

    享年 三十九歳 。。。

 ぼくの視界80cmで見た 高橋和巳は  

   随分と老けて見えたが

      三十七歳でしかなかった

    

  翌年 四十五歳で割腹自裁し果てた三島由紀夫より 八つも若い

    その 高橋和巳が 生きていたとき

      相手は不祥だが 浮気をした

 たか子は 復讐のため 

    (そう称して)

        澁澤龍彦を 誘惑した

たか子と澁澤の情事によって

      澁澤龍彦矢川澄子のあいだが ぎくしゃくし始める

 逆ギレのように

     矢川の方こそ なにかあるのだろうと 澁澤は悋気する

         浮気相手の候補者は 加藤郁乎 谷川雁

            結果  

        矢川は澁澤と協議離婚する 

 矢川澄子が 谷川雁の棲む 黒姫に移り住んだのは 後年のこと

  匆々たる 「知識人」たちの 凡庸すぎる 浮気ばなし

     色情によるドミノ倒し

       それぞれの婚姻の崩壊

          この滑稽な事実は 

  山村工作隊や 連合赤軍リンチ事件 オウム真理教によるテロ活動 と並んで

    ぼくが考えていきたい「戦後日本知識人論」の何ごとかを 含んでいる 。。。。。

               ☆  ☆  ☆

読み始めた本を とばし読みしたり 途中でやめたりすることの ほとんどない老生だが

   つい題名に惹かれて(引っ掛かって)手にした 

ジャック・アタリ『危機とサバイバル/21世紀を生き抜くための〈7つの原則〉』

     ポスト・フクシマの現時点では すでに ほとんど「役にたたない」

           猛烈につまらない本だった

ただ 第Ⅱ部の扉裏に掲げられたマキシムが良かったので 引用したい 

   《      世界が救済されるとすれば

       それは服従しない人びとによってであろう 。

            彼らがいなければ 、

    われわれの文明や文化 、そしてわれわれが愛したものや ,

   地球に暮らすわれわれの存在に隠された根拠を与えたものは ,

             もうおしまいだ 。

          こうした服従しない人びとこそ ,

        “地の塩”であり ,  “神の責任者” である       》

              アンドレ・ジッド

                 ☆