Robert Frank with Gerhard Steidl :: ふたりが造った 可愛らしい写真の本 たち 。

Robert Frank の新しい写真集『HOUSEHOLD INVENTORY RECORD』が届いた

ここ何年か フランクの小さな本を手にするのは 大きな愉しみになっている

 造っているのは あのSTEiDL

ロバート・フランク写真集の 繊細で工芸的な愛らしさに 惹かれるようになったのは

   確か

1996年の瀟洒な冊子 『Thank You』1996年から

  あの もらった絵はがきを 作品にするという

格別な写真集は SCALO の発行だが 製作はSTEIDL だった

1997年に 前年のハッセルブラッド賞 授賞記念として

     例外的にHASSELBLAD / SCALO社 から出た 『FLAMINGO』も 縦長の極めて美しい造本/装幀だった

 それから 手触りといい 開いた感じといい

    なんんともいえない 良い感じの中型書籍『s t o r y l i n e s

 この作品集は 傑作揃いのフランク写真集のなかでも

      とくに傑出したものと見なしても大袈裟ではなく 

   はじめて ロバート・フランクを手にしようというひとには お奨めそのもの

    以後 

COME AGAIN』2006

Seven Stories』2009

   を愛らしい変わった造本のピークとして

    その後の薄冊 函入り写真集 三部作

TAL UF TAL AB』2010

YOU WOULD』2012

PARK / SLEEP』2013

   これが三冊揃ったとき コレクターとして 達成感があったほど / 笑。

     フランクのコアな追跡者なら 欠かせないのが

父 ヘンリー・フランクの写真集 『 Henry Frank FATHER PHOTOGRAPHER 』2009

  ロバートの父親への愛情が滲んでいる素晴らしい造本だ

愛らしいといえば 

  Jack Kerouac John Cohen との共作フィルム『Pull My Daisy 』2012 DVD 付き も

     素敵な箱に収められた玩具のような仕上がりで 

        マニア心をくすぐってやまない

   ここには ギンズバーグや ケルアックを仲間とする

     1950年代末のNYの青春が留まっている

  ロバート・フランクの写真は 生と死 生と死のあいだを凝視する

      生と死のあいだを充塡しているのは 愛と神秘だ

        「愛という神秘」    「神秘という愛」

     二〇世紀後半から 二一世紀初頭までにいたる偉大な写真家 

      ロバート・フランクの生涯を貫く主題は それである

 さて この日録は

KOTO BOLOFO がシュタイデル社を撮影した 健康で上品でアンチームな写真集 

 『I SPY WITH MY LITTLE EYE SOMETHING BEGINNING WITH S

   を参照してもいるが 

 この大型本に印刷された写真群を眺めていると 

      まるでシュタイデル社のスタッフが旧い友人たちのように思えてくるのである

        それにしても

     あの一九六〇年代終わりに 

  まだ一〇代でこの印刷と出版業をはじめた ゲルハルト・シュタイデルは

      ウィリアム・モリスの名を出したくなるような

         印刷と造本 デザインにおける

     逸材であり 傑物であり たぐいまれな 創造者である 。。。

          ふたりの健康をこころからいのっている

          ☆ ☆ ☆

       そういえば

    いまはもうない 銀座イエナの中二階か三階で

 幾冊もが平積みされていた邑元舎版『私の手の詩 』

   あの大きな本を

     いったんは手にしながら 買わなかったことが 

        ぼくには 

         書痴としての trauma ある種の敗北感 喪失感らしく

           いつになっても 素直におおきな『私の手の詩』を 買えない

             あれは 一九七三年の刊行だから 

               もう四〇年余も経っているのに 。。。。/ 笑。