隠遁老人は 「本の宇宙に 亡命中」 さよなら 地上の暑さ

 

 痛いほどの 灼熱さなか

Gilbert & George 『SIDE BY SIDE』2012年版

M・C・ダーシー著 井筒俊彦・三邊文子訳『愛のロゴスとパトス』上智大学1957年 刊

同時にとどく

『愛のロゴスとパトス』は 

この夏から配本が始まる 慶応義塾大学出版局の『井筒俊彦全集』にも

翻訳は収録されないので

送料込みで1100円未満 呆れるほどの安価に背中を押され 購入

   避暑遁走 露天風呂のあいまに

高橋英夫文人荷風抄

上野俊哉思想の不良たち / 1950年代 もう一つの精神史』

読み始める

 『荷風抄』は 「文人の曝書」曝涼に始まる

      おとなの文体 枯れた文章

 この過酷なまでの暑さ 

 いまの世の苛虐な癲狂ぶり あらゆる風光の侘びしさ 断腸と諦観に とても似合っている 。。。。

  ここで

『SIDE BY SIDE』購入の経緯について説明すると

  ぼくは 

George & Gilbert の極めて美しいアーティストブック『DARK SHADOW』を 

刊行された1974年とほぼ同時期に購入

持っていたもの の 

その先駆型といえる1971年版『SIDE BY SIDE』を架蔵しておらず

やや悔しい思いをしていた

昨2012年になって 第二版を 2000部限定で

  四十一年ぶりにリプリント

初版とまったく同じ造本 署名入で出したことを 最近知って 迷わず購入

 蛇足を述べると

老生は 

   ギルバート&ジョージ 個展招待状 etc.

 見事な完成度をもつ 少部数印刷物

   70年代署名入初期エフェメラを マニアックに購入した時節がある 。。。/ 笑

     だから 

第二版であれ『SIDE BY SIDE』は ある時代のスーヴニィアとして欲しかった

それにしても あの若く 美術学校でキャーキャーしていた二人組が 

      いつの間にか  お爺さんふたり組に 

          未 覺 池 塘 春 草 夢

          階 前 梧 葉 已 秋 聲           

     二人のみならず 自らを顧みて 感懐ふかく 

      炎熱に かえって 秋声 烈風を おもう

         

              ☆

   断腸亭 永井荘吉が 韜晦的 厭離穢土の営為として 江戸へ亡命したごとく

   ぼくも 本の世界に 遁走 隠棲しよう

            やってられるか こんなとこ / 笑。