富士から中南海へ

煙草をやめて10年になる。

最初の煙草が富士だった。カンカンに巻かれた良い煙草だった。

国産唯一のヴァージニア種。

そこから煙草遍歴が始まった。

ピースを吸った、出たばかりのセブンスターズも。

いこい新生、ゴロワーズ。ディスクブルゥに嗚呼懐かしのゲルベゾルテ。

フィリップ・モリスダンヒル、ソブラニ・コックテール。

ロスマンズ・オブ・ポールモールにゴールデン・バットも忘れちゃいけない。

紅茶に一服、コーヒーに二服。

どんなときも手放せない。嬉しい悲しい愉しい辛い。

酒のつまみは煙草煙草煙草。

スーパップ ザ スモーキングブギ。

あの名曲が生ぬるく聞こえたほど吸い続けた。

仙人は煙草に決まってるじゃないか。飯なんかクッテラレルカヨ。

水と煙で生きていたかった。

古い手帳を見ていたら

こんな走り書き。

「一九九六年四月一五日まで愛好した煙草。

中南海・ラムセス二世・ダビドフ

だとよ。けっ、キドリヤガッテ。

だからキーワードは

北京の地理や中国の政治にちょっぴ詳しい人なら一寸ニヤッとするかもしれない

俺は馬鹿か。

されど未だに煙草をやめられない特にヘビースモーカーには中南海をお薦めする。痰がなくなる咳が出ない。之は請け合います。