Richard Avedon  (1923~2004 )

●哀悼 偉大なる写真家は9月25日にテキサス州サンアントニオで「New Yorker」誌のための撮影中脳梗塞で倒れ入院していたが 10月1日に死去したことを確認した。 

最も20世紀的な職業は宇宙飛行士を含めた操縦士と 映画監督とキャメラマンを含む写真家だった。

他の仕事は 冒険家にしても詩人や建築家 書記 売笑婦 軍人 奴隷 芸能・スポーツ 農・林・漁業 画家 商人 僧侶 ‥‥‥ 殆ど太古からあった。

リチャード・アヴェドンは半世紀にわたって 

20世紀後半の「商業写真界」に君臨してきた偉大な存在だ。

彼のアシスタントから育った多くの写真家を考えただけでも凄い。

アヴェドンとマイルス・ディヴィスは名伯楽的「帝王」である(笑)。

彼はファッションを撮る写真家として知られているが 

その本質は肖像写真そのものだ。

そして「写真の本質」もポートレートにある。

アヴェドンは撮らなかったが 例えば建築写真も 建築のポートレートである と同時に建築家とその工事に関わったすべての人々の「像/イメージ」の記録に他ならない。

廃墟の写真も 料理写真も 本質的には「肖像写真」だ。

 ポートレイトとは「時間そのものの匂い」の記録なのだ。

或いは 彼が 同時代人に「貌」を与えてきたと云っても良い。

最も知られるマリリン・モンローの写真はアヴェドンが撮影したものだろうし。

ビートルズでも トィッギーでも ジャニス・ジョプリンでも 

スージー・パーカーでも

           そうだ。

 彼は顔を喪失しつつある20世紀の人々に貌を与えてきた。

          ・

あの もう一人の偉大な現役のカリスマ/写真家 

ロバート・フランクの 顔ですら 我々は アヴェドンの撮った肖像で記憶している事を思い起こすといい。

或いはアヴェドンとダイアン・アーバスの友情を想うとき 

私たちは人間の像をめぐっての20世紀写真の

「翠点」ともいえるモノを垣間見るのかもしれない。

人間の肖像とは何なのか・・・

人間がものを思い 考える能力を持つ限り

写真術は永遠に謎であり魔法であり続けるだろう。

80歳のリチャード・アヴェドンに祝福を!!

2004年9月25日 R.Avedonは

「ニューヨーカー」誌の為テキサス/サンアントニオでロケ中に脳内出血のため倒れ入院していたが、10月1日に亡くなった。享年81歳。

肖像写真家として最も偉大な人物を喪い「20世紀」は間違いなく幕を閉じたようだ・・・・

↓顔と貌 眼と瞳‥・人はレンズの背後に何を視る