G.B.Kent&Sons

今より輸入品が遙かに高価だった頃

1英ポンドが1080円だった時代

イギリスの物は何でも高かった。

今でこそ歯ブラシはU.S.BUTLERになったが

昔はKENTに限ると思っていた(笑)。

しっかりして何処か華奢なところが良かった。

70年代に入ってデザインが変わり歯ブラシに関しては

熱が冷めた。

イギリスはブラシ文化の国だ。

洋服ブラシ、靴ブラシ、掃除用ブラシ、ヘアブラシ、

爪ブラシ、ボディブラシ、勿論歯ブラシ。

ブラシブラシブラシの国だ。

日本は櫛の国。雑巾の国。糸瓜の国。

似て非なる亀の子ダワシの国。

悪口じゃありませんから。

何故ブラシが好きか考えた。

例えばヘアブラシを例に取ると

二種類の木、獣毛、それに金属を用いている。

異素材を併せた木工芸品の面白さ

特に背中側の木目の美しさ

或いは木を留めている小さな真鍮の木ネジが揃っている。

美しく目立たずに五個あるネジの

マイナスの線が一定方向に綺麗に向いている。

国産メーカーで其処までやっているのを

残念ながら見たことがない。

ある国産高級カメラにオプションで木のグリップが附いた。

木ネジはバラバラな方角を向いていた。

それは高級ではない。断じてない。

英國は良いなあ。例え潰れそうでも素敵だ。

G.B.ケントはそんな英國の会社だ。