写真家・濱谷浩の言葉

偶然に何度か会った。

不思議な人。

岩波書店から83年に出た『學藝諸家』の

 《人の像について》という文章を

生意気にも誉めたら嬉しそうだった。

それはこんな言葉で書き出されている。

「人はなぜ, 人の写真を撮るのか,

人はなぜ, 人に写真を撮られるのか,

人はなぜ, 人の写真を撮らせるのか, 」

写真術を使うと同時に言葉使いだった。

明晰な頭脳と明眸がいつも閑かに息づいていた。

子供のようであり大変に〈大人〉だった。

似たような人はアートディレクターの

堀内誠一さん唯一人。

ふしぎなおとな。

ボクは好きだな。

記しておきたいことは一杯あるような気もするが

無くてもいい。

初めて偶然にあった時

紙にこう書いてくれた

        福縁随處 一九八四 五、廿五

                   濱  

           

99年に83歳でなくなったが故人の遺志で告別式はなかった。

濱谷さんの数ある写真集で一番好きなのは、

『學藝諸家』と

[LANDSCAPES]だ。

この写真集では地球が 

 

一人の人物のように見える。