W.Eugene Smith (1918~1978 )

未だ明けやらぬ早朝の表参道を

 

ユージン・スミスが 

ゆっくり過ぎるほど ユーックリ 

身体を揺らしながら歩いているのを見た事がある。

片手に酒瓶を握っていた・・・

その姿は 

                   若い僕の目からは

憂鬱の海 に張られた 

沈鬱の綱 の上を 

酩酊 の棒で

 

バランスしている天才曲芸師に見えた・・・・

やはり ユージン・スミス という写真家は

「耽美的な作家」なのだ。

僕は その姿を見て 確信した。

彼は 戦争でも 

水俣でも 

人間という 惨めで残酷で可憐で哀れな 種の 

僅かなほんの微かな美しさを

フィルムと

印画紙に しっかりと定着させたかったのだ。

事実 彼の写真は 時として 酷い場面ですら 美しい。

 僕の好む云い方をするなら 尊厳がある。

↓代表作が見られます。“ユージン・スミスを記念する基金”があるのを初めて知った。