神秘主義思想家としてのJean-Luc Godard

一年に一度はないほど ごく稀に ECMから出た〈世界初の完全サントラCD〉

ゴダールの『ヌーヴェル ヴァーグ』を掛ける日がある。

今日がそんな日だ。

私は盲人になって 映画を見ている自分を想像してみる・・・

    犬が吠え・・・クルマの音が遠ざかり・・・

   

   電話が鳴り ・・・会話が聞こえ 途絶え ・・

     やがて 音楽が始まるだろう・・・

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老いてくると 映画とは【音】の事だと 気が付く。

睡りながらの映像【夢】は 音に刺激されて みえている。

私は・死者になって映画を観ている・自分・を想像している・・・

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アンドレイ・タルコフスキー 

テオ・アンゲロブロス

ジャン=リュック・ゴダール

私の 最も大切な 監督たち・・・

バリバリのモダニストに思えた ゴダールが 何時から 神秘主義者に みえるようになったのだろう。

カルメンという名の女』

      

ゴダールのマリア

辺りから だろうか・・・

いや そうではない。 

映画その物がもともと内包していた“神秘”を ゴダールは暴いて見せたのだ。

勝手にしやがれ』でも 『気狂いピエロ』でも。

   あの呆気ない死に方によって 現実の安っぽさと共に。 

   薄い薄い フィルム一枚ほどの厚さしかない“神秘”を 

   光と共に曝して見せたのだ。

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   最初から。

    記憶は (ヒトの)外側にあるのか 内側にあるのか

    引用とは 何か・・・

    映像 に呼応する眼  

    懐かしそうに感応する 瞳とはなにか・・・

    憧憬する眼球(S)の魔術。

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    映画とはリールの回転に 端を発する マジックだ。

    スープをかき回す 木製の匙が 金属のクランクやモーターに換わり

    魔法使いのお婆さんが 監督という名で呼ばれるようになっただけだ。

        

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ゴダールの魔法を想う時 同じ‘スイス系’

写真家ロバート・フランクを想う。

或いは 思想家C.Gユンク を 

建築家ル・コルビュジエを 

彫刻家ジャコメッテイを 

画家パウル・クレー

   

    ・ を

          

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‘Nonsense!’と思いつつ 想い出す・・・    2002/11/11