南画廊/志水楠男さんから貰った《黄よ。おまえはなぜ》

加納光於の『アララットの舟あるいは空の蜜』を

幾度か眺めてから僕は他の作品を見ていたと想う

“ボンヤリ/クッキリと”いつもの方法で

やがて

画廊の人が帰る様子の僕に 少し待つように云い

これはサムの個展のとき壁に貼っていたものだから

少し汚れているけどと言いながら

今これを書く横に拡げて置いてある

サム・フランシスの絵に瀧口修造

謎に満ちる散文詩を添えた

『黄よ。おまえはなぜ』

が、その人の手から渡された。

40×30㎝もある大きなフォリオ

幾葉かの印刷された紙片が入っている。

ケース裏にはサム・フランシス展

 1964・11・16-12・5

と日付が入っている。

       何故

  年齢も名も知らない初対面の僕に

    それをくれたのか。

     黄よ。おまえはなぜ

        ・

    答は風も知らなかったろう

   

   時代は既に70年代に入っていた‥‥・

        ・

〈 画家と道づれの黄いろい旅程表……

  夢でも見たのか。

   「わたしは蘚苔類の親戚である」とわたしは言った。

   すると蟻たちが大声で笑った。  〉

          ・

          ・

          ・

志水さん あなたと仲の良かったSAM FRANCISも

遙か遠くへと旅立ちました。瀧口修造さんも・・

電脳空間に棲むSAMと旧交を温めてください。

(僕も随分大きくなりました/笑。)