『茶の本』岡倉覚三
天心 / 岡倉覚三は
20歳を超えるあたりから
余の輝ける英雄となって今日に至っている。
東京美術學校を独力で作り
奇矯な制服を定め
騎乗して通う。
さらに
官僚的な輩に
自ら創った美術學校を追い出されるも
少数の優れた弟子を引き連れ
茨城県は五浦に
亡命政権の如き
《日本美術院》を
創設。
或いは合衆国や印度における
泡立つような青春の日々と恋と冒険物語の数々。
波瀾万丈とはこの英傑のためにあるような言葉
しかし朋友よ
永く幾度でも
本書に親しむといい。
如何なる力が彼を動かし
或いは深く鎮めていたのかを
改めて深々と知るだろう。
曰く。
「茶室は茅屋にして聖堂」
「いざさらば春よ、われらは永遠の旅に行く」
永劫の名著。
1983年に桶谷秀昭の訳で美しい本が
平凡社から出ている。
函入り/天金の装幀は安野光雅。
しかし翻訳は村岡博の方が遙かにいい為
岩波文庫版を推す。
ワイド版が大人っぽい(笑。