美術

“穴と裂線”に依る画布の洗練/Lucio Fontana

フォンタナの『空間概念』シリーズの一枚を視た時の 鮮やかな印象を今でも憶えている まだ十代半ばだった 綺麗に開いた カンバス 上の ・ 線 鋭い裂け目 鮮やかな数本の線 紛れもないアバンギャルド ボクの前衛好きはソノ一枚を起点と しているのかも知れな…

Alberto Giacometti

「あれが矢内原伊作よ」 年上の編集者に連れて行かれた渋谷の酒場で秘密めいて囁かれたのは70年代の初めだった。 かつてジャコメッティのモデルを務めた男が其処にいた。 どうして彫刻家がそれほど夢中になったか ボクは見極めようとしたけれど その風貌は知…

Diego Giacometti

パラパラと眺めている内に何だか欲しくなって買ったのがParisのHERMANNから86年にでたディエゴ・ジャコメッティの作品集だ。 兄アルベルトの絵画にも彫刻にも様々に描かれ作られているディエゴが 独特なブロンズ製の家具を作る作家であるとは その時まで知ら…

尾竹紅吉/富本一枝と『青鞜』その後。

僅か17歳で 青鞜の編集に加わり紅吉を名乗った一枝は早熟で才能あふれる日本画家でもあった。 やがて芸術家同士の結婚。 二人の大正4年から大正15年までの安堵村での暮らしを偲ばせるこんな文章が憲吉の著書『窯辺雑記』中にある。 「なるべく安価にして模様…

《竹林月夜》大和國安堵村と富本憲吉。

東京美術学校図案科在学中の22歳で ウィリアム・モリスの工藝思想や 当時の欧州建築を学ぶために英國留学した富本憲吉は ロンドンで知り合った高村光太郎の紹介で、帰国後バーナード・リーチと知り合い やがて陶芸に手を染めることになる。 28歳で青鞜の女流…

《北京秋天》その他。梅原龍三郎

まさか。 梅原龍三郎の本を一冊も持っていないとは 探してみるまで気が付かなかった。 では僕の 画伯に対する知識は何処から来たのか。 美術館や 図書館や 画廊や 雑誌その他 によって 自ずと醸成されたものらしい。 それほどに 梅原龍三郎という画家は 自然…

黒田辰秋

一昨年、豊田市美術館で開かれた黒田辰秋展の図録を お土産にくれた友人がいて そのお陰で 行けなかった展観を偲んでは 今でも飽きもせず眺めている。 辰秋さんは名前からしてそうなのだが 夏が終わり秋が深まり始めると決まって思い出しては 写真で良いから…

『食卓にて、夏の終わりに』/駒井哲郎と‥

駒井哲郎の名を最初に知ったのは 10代も終わりに近付いた晩い夏だった。 手元に今もある『季刊版画5 秋』1969 が其れを証している。 「一言に言へば、彼の顔貌は、写楽の描く役者の顔そのものである。」 作家訪問で川合昭三は 青柳瑞穂の文章を冒頭からやや…

〈氾濫/光に於ける高貴な漂流〉加納光於の方へ。

1971年に工房を船出した神秘な方舟 大岡信との共同製作部分を納め有つ函 『アララットの舟あるいは空の蜜』を 南画廊で見たのは今から30年も昔 72年の 季節はいつだったか。 それは見るというより視認というものだった。 未だ時間を吸い込んでいないそれは …

南画廊/志水楠男さんから貰った《黄よ。おまえはなぜ》

加納光於の『アララットの舟あるいは空の蜜』を 幾度か眺めてから僕は他の作品を見ていたと想う “ボンヤリ/クッキリと”いつもの方法で やがて 画廊の人が帰る様子の僕に 少し待つように云い これはサムの個展のとき壁に貼っていたものだから 少し汚れている…

余白に書かれた詩的沈黙/瀧口修造の実験。

・ 。

〈神秘をコップに挿した〉長谷川潔

この明治の日本が生んだ偉大な藝術家を どのように説明したらよいのか。 1918年27歳で横浜港を出帆し、 以来1980年に89歳で巴里に没するまで 一度も故国に還らなかった 強靱な意志の人。 遺著『白昼に神を視る』の中で 彼は、自然と神と神秘を こう述べてい…

硝子/glass/瑠璃/玻璃

ガラスは少し不思議な物質で 文字も呼び方も沢山ある。 但し瑠璃にしても玻璃にしても 元々の意味は必ずしもガラスだけを意味しない。 梵語でラピスラズリだったり、水晶だったりする。 更に興味深いのは 硝子は普通の状態では極めて不安定な物質と言う事。 …

玻璃彩版

木口木版やドライ・ポイント、エッチング、 ビュラン、アクワチント、メゾチント、 リトグラフ、シルクスクリーン等といった 版画の技法にかなり詳しいヒトでも、 【玻璃彩版】という技法の事は知らないように思う。 実は僕がそうだった。 求龍堂から昭和四…

Christo and Jeanne-Claude

少し年季の入った現代美術ファンなら 単に「クリスト」で記憶しているだろう。 しかし今は「クリスト&ジャンヌ=クロード」 が正しい呼び方となっている。 (正確には94年から「Christo&Jeanne-Claude」 になりました。) 世界に70年代の始まりを告げた あの…

GILBERT and GEORGE

ジョージは1942年プリマス生まれの英國人。 ギルバートは1943年生まれのイタリア人。 二人は倫敦のセント・マーティンズ美術学校で 1967年に出会いました。 少しばかり歳を喰った学生だったんですね(笑) あ、失礼致しました。 その頃二人が学校の屋根の上…

Giorgio Morandiの光と匂い。

モランディに 惹かれるようになったら、 あなたは 大人になり掛かっているのかもしれない。 或いは 此の、大人になることが困難な国で 本当の大人に なれるかもしれない。 彼の 光と風の匂い そこにあることの神秘 地上にとどまりながら この上なく静かに息…

戴冠する幼女/草間弥生

1980年代の初め頃、竹橋の国立近代美術館で 【一九六〇年代-現代美術の転換期】 という回顧展があった。 ネオ・ダダ、ハイ・レッド・センターを始めとする 〈反芸術〉の作家達の作品が一堂に会した画期的な 展覧会だった。 ギューちゃんこと篠原有司男や工…

ブルーナの切手/Dickのマチエール

街で見かけて、 ブルーナの絵の付いた切手を買った。 99と01年のふみの日に出た奴。 7月23日をふみの日と呼ぶらしい。 何処と云うことなく ニホンの女の子 ニホンの男の子 ニホンのウサギの絵がついている。 少し前NHKの「未来への教室」で ブルーナが子…

絵筆を擱いたホックニー/David Hockney

デヴィッド・ホックニーは30年を遙かに超えて 常にボクの絵画的ヒーローであり続けた。 今年65歳になる 彼が絵筆を擱いたようだ。 ウォーホルも ジャスパー・ジョーンズも ジム・ダインも クリストも ギルバート&ジョージも サム・フランシスや ロイ・リキ…

18・大竹伸朗

写真とデッサンによる大竹伸朗18歳/青春の記録。 北海道野付郡別海町の牧場で過ごした一年間。 28年を経て、この5月に出たばかり。 初々しく荒々しい力に充ち 青春の悶々としか云いようのないものに苦しむ魂と 剥きだしで迫る現実が拮抗した記録。 希有な…

おほてら の まろき はしら の つきかげ を つち に ふみ つつ もの を こそ おもへ

秋艸道人・會津八一は佳き教師であり、優れた学者であり、傑出した詩人・藝術家であった。 このような人は稀である。 「キーワード」を漢字に変換してみよう。 大寺の 圓き柱の 月影を 土に踏みつつ 物をこそ 思え 月影とは「月光」のことだが、ここでは光の…